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『アメリカン・スナイパー』(2014年) -★★★★☆-

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スタッフ&キャスト

原題: American Sniper
製作: 2014年 アメリ
時間: 132分
原作 クリス・カイル スコット・マクイーウェン ジム・デフェリス
脚本 ジェイソン・ホール
出演: ブラッドリー・クーパー(クリス・カイル)
    シエナ・ミラー(タヤ・カイル)
    ルーク・グライムス(マーク・リー)
    ジェイク・マクドーマン(ビグルス)
    ケビン・ラーチ(ドーバー
    コリー・ハードリクト(“D”(ダンドリッジ)
    ナビド・ネガーバン(アル=オボーディ師)
    キーア・オドネル(ジェフ・カイル)

あらすじ

米海軍特殊部隊ネイビー・シールズの隊員クリス・カイルは、その狙撃の腕前で多くの仲間を救い「伝説」と呼ばれていた。
しかし、同時にその存在は敵にも広く知れ渡り、クリスの首には多額の懸賞金がかけられ命を狙われる事になる。
数多くの敵兵の命を奪いながらも、家族の前では良き父でありたいと願うクリスは、そのジレンマと戦いながら4度にわたるイラク派遣を生き抜き、祖国へ帰還を果たすのだが…。

予告映像

感想

生きる伝説クリント・イーストウッド監督が米軍史上最強の狙撃手クリス・カイルの自伝を映画化した『アメリカン・スナイパー』をようやく鑑賞。

デリケートな題材とあって観る前は同監督の『父親たちの星条旗』や『硫黄島からの手紙』のようなドラマ重視の作風をイメージしていたのですが、思いのほかドンパチ満載で驚かされました。
オリンピック出場経験もある敵狙撃手との因縁や、終盤の超長距離スナイピングといった史実と異なるオリジナル展開は戦争アクションのそれであり、リアルとは言い難い特大マズルフラッシュや弾丸をスローで映すカットなどはともすればマンガチックにすら見えます。

そんな映画的に描かれる戦場パートから一転本国パートは静かな演出によって日常に戻っても戦いに囚われ続ける兵士と、その姿に傷付く家族の実情を浮き彫りにしていく。
徹底したリサーチと肉体改造でクリス・カイルを憑依させたブラッドリー・クーパーと、その妻を演じたシエナ・ミラーの演技が素晴らしく、特にブラッドリー・クーパーは見た目の印象が違い過ぎて最初誰だか分かりませんでした。

「伝説」という重責に押し潰されそうになるも、愛する家族のため戦場への未練を断ち切り軍を除隊。
同じように苦しむ元兵士たちの心のケアに尽力し人間性を取り戻したクリス・カイルを待ち受ける衝撃の結末はあまりに無情で「事実は小説より奇なり」というほかありません。

あたかも多くの命を奪ったクリス・カイルが幸せになる事を阻むように最悪の形でそれは訪れた。
この事実が映画の持つメッセージ性をより大きな物にした事は言うまでもなく、無音のスタッフロールを含め重い余韻が残る作品でした。