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『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: Fast & Furious 8
時間: 138分
製作: 2017年 アメリ
出演 ヴィン・ディーゼル(ドム)
    ドウェイン・ジョンソン(ホブス)
    ミシェル・ロドリゲス(レティ)
    タイリース・ギブソン(ローマン)
    クリス・“リュダクリス”・ブリッジス(テズ)
    ナタリー・エマニュエル(ラムジー
    エルザ・パタキー(エレナ)
    スコット・イーストウッド(リトル・ノーバディ)
    クリストファー・ヒビュ(ローズ)
    ジャンマルコ・サンティアゴ(フェルナンド

あらすじ

誰よりも仲間を愛し大切にしてきたドミニク(ヴィン・ディーゼル)の裏切りにより、彼らの結束は崩れようとしていた。だが、彼の行動には謎のサイバーテロリストシャーリーズ・セロン)が関与していることがわかる。レティ(ミシェル・ロドリゲス)やローマン(タイリース・ギブソン)らはドミニクを取り戻すため、最大の敵デッカート・ショウ(ジェイソン・ステイサム)と手を組むが…

予告映像

感想

ポール・ウォーカーの急逝という悲劇に見舞われながらも彼が演じたブライアンとの別れを美しく描き切った前作で終わらせておけば良かったのに、大人の事情というか金儲け主義で続いてしまったシリーズ第8弾。

今回はチームの中心的存在のヴィン・ディーゼルがファミリーを裏切り、前作のヴィランであるジェイソン・ステイサムが仲間になって、新たにフィリオサなシャーリーズ・セロンが最強の敵として立ちはだかる。
監督は『交渉人』『ミニミニ大作戦』『完全なる報復』のF・ゲイリー・グレイが担当しているのですが、この人こういう頭の悪いブロックバスター系も撮れたのね。

例によってスケールの大きいアクションを連続で見せて、その合間に申し訳程度の小話が盛り込まれただけの、悪く言えば知能指数の低い。良く言えばお子様でも楽しめる娯楽大作。
60セカンズ』で観た鉄球クラッシュや、NYで繰り広げられる完全にギャグなゾンビカーの大暴走。そして子供がミニカーでやる「ブンドド」をそのまま実写にした氷上の決戦と、こんなアホな絵面を大の大人が大真面目に作っているのだからハリウッドは本当に楽しいところである。

今となっては手塩にかけて愛車をチューンナップしてストリートレースでトップを目指すといった要素は無く、金と職権を乱用して高い車を乗り捨て鉄屑に変える破壊者集団の話に成り下がってしまった。
しかも、その過程で一般人がどれだけ巻き添えで犠牲になろうがお構いなしでお咎めなし。
それでいて「ファミリーのため」とか言ってんだから、次はこいつ等の所為で大切な人を失った元特殊部隊員の復讐劇にしたらどうか?。

ドミニクの裏切りは案の定、裏があるのだが、テメェの不始末で親友のブライアンを含む世界中の人間を危険に晒すとか迷惑この上無いし、そもそもこの男、今現在付き合ってる女性がいるのに昔の恋人が生きてると知ったら、あっちゅう間にそっちと寄りを戻すのだから、そりゃミシェル・ロドリゲスも怒りますわ。

シリーズ通して観ていると、これまでのサブキャラ総登場で唸らされる反面、すっかりコメディリリーフと化したジェイソン・ステイサム演じるデッカードを赦す展開は到底許容できず、この部分が本作最大のガッカリポイントになっている。
「仲間の敵だ」と容赦なく敵を殺した舌の根も乾かぬ内に、ハンを殺めたステイサムを笑顔でファミリーに迎えるってアホか!!。
だったらハンもオーウェンみたく「実は死んでなくて日本で元気に暮らしてました(笑)」という事にすれば良かったのだ。

そんな感じで細かい部分を気にしたら切りが無いので、寛大な心を持ちそういう映画だと割り切る事が出来れば2時間退屈せず楽しめるでしょう。
思わぬ大御所がカメオ出演するなど、まさに「見た目は超豪華だけど味が微妙なフルコース料理」という表現がピッタリな古典的ブロックバスター映画でした。