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『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: Furious 7
製作: 2015年 アメリ
時間: 138分
出演: ビン・ディーゼル(ドミニク・トレット)
    ポール・ウォーカー(ブライアン・オコナー)
    ミシェル・ロドリゲス(レティ)
    タイリース・ギブソン(ローマン)
    クリス・“リュダクリス”・ブリッジス(テズ)
    ナタリー・エマニュエル(ラムジー)
    エルザ・パタキー(エレナ)
    ガル・ギャドット(ジゼル)
    ルーク・エバンス(オーウェン・ショウ)
    トニー・ジャー(キエット)
    ジャイモン・フンスー(ジャカンデ)
    サン・カン(ハン)

あらすじ

オーウェン・ショウ率いる国際犯罪組織を倒し平穏な毎日を送っていたドミニクたちの前に、オーウェンの兄デッカード・ショウが弟の仇を討つべく現われる。
元特殊部隊の暗殺者で一国の軍隊に匹敵するほどの力を誇るデッカードは手始めに東京に移り住んだハンを見つけ出し殺害。
大切な仲間を奪われたドミニクたちは、圧倒的な強さを誇るデッカードに決死の戦いを挑む。

予告映像

感想

『TOKYO DRIFT』~『EURO MISSION』まで4作品を手掛けシリーズの人気を不動の物にしたジャスティン・リンが離脱し、新たに『SAW』狼の死刑宣告ジェームズ・ワンがメガホンをとったワイルド・スピード第7弾。
畑違いの人選にどうなる事かと思いましたが、銀残し風のクールな映像や、登場人物と共に回転するトリッキーなカメラワーク。
小気味よいカット割りなど良い意味で予想を裏切られました。

ストーリーは前作で倒されたルーク・エヴァンズ演じる悪党の兄貴が主人公たちに復讐を仕掛けてくるという物。
その兄貴がジェイソン・ステイサムで、ご他聞に漏れず特殊部隊出身の不死身野郎というオマケ付きなのですが、犯罪に手を染めやりたい放題やってる弟を放任していればどうなるかくらい裏の世界で生きてれば分かるだろうに…(;一_一)
百歩譲って死んだのなら復讐に走るのも理解できるが、病院送りにされたくらいで殺しに来るとか逆恨みも甚だしい。

そんな訳でシリーズの整合性を図るべくハンは殺され、晴れて『TOKYO DRIFT』から先の時間軸に物語が移行。
けれども初期の「ストリートレース」というコンセプトはいよいよ忘れ去られ、『007』と『ミッションインポッシブル』と『ダイハード』の良い所を拝借した取り留めのないアクション映画に成り下がってしまいました。
ゲスト俳優はジェイソン・ステイサムばかり持て囃されていますが、カート・ラッセルジャイモン・フンスーに加え、トニー・ジャー恒例の格闘家枠でロンダ・ラウジーが参戦するなど『エクスペンダブルズ』のお株も奪う気満々。

カーアクションに関しては山間部でのシークエンスは実写で撮影され文句なしの出来。
だがアブダビの高層ビルジャンプはモロCGだし、地元ロサンゼルスで展開するクライマックスはD・J・カルーソ監督の『イーグル・アイ』的な「アレ」が登場して開いた口が塞がらない。
そもそも、こんな軍事力を有する危険な傭兵集団の入国を何故許したのかという疑問。
前作同様、ヴィン・ディーゼルVSジェイソン・ステイサムの禿げ頭対決や、ドウェイン・ジョンソンの実写版バルカンレイブンなど、終盤の見せ場がことごとく車抜きの殴り合い・撃ち合いというのもカーアクションとして如何なものか?。

唯一良かったのはブライアンが「古い手だ」と言って一作目のアクションを再現して見せた部分で、あとは何でもありなご都合主義展開のオンパレード。
ミサイルが飛んでくる状況を「ストリートでの戦い」とドヤ顔で言い張るドムや、あのタイミングであそこにアレがやって来ると未来予知するホブスや、銃弾飛び交う現場にわざわざ突っ込んでいくレティや、心臓マッサージが下手くそなブライアンなど、もう滅茶苦茶。

それでもポール・ウォーカーの死を踏まえ書き直されたドムとブライアンが別の道を進んでいくラストは秀逸で不覚にも目頭が熱くなりました。
シリーズ通して観ていれば、ここのセリフや回想、挿入歌で涙すること請け合い。
(まぁそれでも続編は作られるみたいですが…)

難点はある物の、初めての大作で主演俳優の死というアクシデントに見舞われながらも投げ出さず完成まで漕ぎ着けたジェームズ・ワンの根性と、志半ばで旅立ってしまったポール・ウォーカーの勇姿に惜しみない拍手を送りたい。
本当にお疲れ様でした。