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『SPIRIT -スピリット-』(2006年) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: FEARLESS/霍元甲
製作: 2006年 香港/アメリ
時間: 103分
監督: ロニー・ユー   
脚本: クリスティン・トー 、クリス・チョウ
音楽: 梅林茂 
出演: ジェット・リー(フォ・ユァンジア)
    中村獅童(田中安野)
    スン・リー(ユエツー)
    原田眞人(ミスター三田)
    ドン・ヨン(ノン・ジンスン)
    コリン・チョウ(フォ・ユァンジアの父)
    ネイサン・ジョーンズヘラクレス・オブライアン)
    バオ・キージン(-)
    ソムラック・カムシン(-)
    アンソニーデロンギス(-)
    ジャン=クロード・ルーイエ(-)
    ブランドン・レア(-)

あらすじ

幼少期病弱だった霍元甲は父の流派を継ぎ、やがて武術の達人として名を馳せる。
病を克服し、大勢の門下生を抱え順風満帆に見えた霍元甲だが、自らの力に溺れやがて家族や友人を失ってしまう。
失意の果てに一度は死を望んだ霍元甲だったが、善き人々に命を救われ第二の生を人々の為に役立てる事を誓う。
そんな折、各国の腕自慢を集めた武術大会の存在を知り、西洋化の波に呑まれ自信を失いつつあった中国人を勇気付けるべく出場を決意する…。

予告映像

感想

清代末期に実在した武術家・霍元甲を題材にしたジェット・リー製作・主演の『スピリット』が午後ローで放送されたので鑑賞。
実在の人物をモチーフにしつつも大部分が創作らしいので故人の名誉の為にもその点は留意する必要がある。
 
前半部分の主人公はかなり、というか相当嫌な奴で、
女癖こそ悪くはないが、自身の強さに慢心し、酒におぼれ、金を湯水の如く使う。
結果手痛いしっぺ返しを喰らい大切な物を全て失ってしまう教訓めいた展開。
 
そうした経験を経て心を入れ替えた主人公は、自らの志を人々に伝え中国人の心を豊かにしようと新たな流派を立ち上げ、その普及の為に異種格闘技戦に参加するというのが本作の流れだ。
 
命を奪う戦いを拒み礼節を重んじる霍元甲の姿に感銘を受ける対戦相手・田中安野役として日本から中村獅童が参加。
言わずもがな中国映画の日本人というのは酷い扱いをされる事が多いのだが、本作は互いを認め合い正々堂々戦う理解者として登場しているのが興味深い。
原田眞人演じるゲスな役人も登場するのだが、それをきちんと田中安野が「日本人の恥だ!」と断罪するあたり、かなり華を持たせた印象で特に嫌悪感を抱く事はなかった。
 
むしろスポーツマンシップに則り高潔であろうとする2人の格闘家が拳を通して語り合う熱い展開に心打たれる。
ワイヤーアクションなどお家芸とも言える手法で描き出す格闘シーンも流石だし、異種格闘技戦という図式も新鮮で面白かった。
 
作中で調和や共生を重んじ、弟子に憎しみに呑まれるなと説いた霍元甲
しかし今の中国を見ていると彼の想いが芽吹く事はなかったようだ。
それだけが本当に残念である。