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『泣く男』(2014年) -★★☆☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: No Tears for the Dead
製作: 2014年 韓国
時間: 116分
監督: イ・ジョンボム
脚本: イ・ジョンボム
音楽: チョイ・ヨンラク
出演: チャン・ドンゴン(ゴン)
    キム・ミニ(チェ・モギョン)
    ブライアン・ティーチャオズ
    キム・ジュンソン(ジョン・リー)
    キム・ヒウォン(ビョン室長)
    カン・ジウ(ユミ)

あらすじ

親に捨てられ中国系マフィアに育てられた殺し屋のゴンは、組織の裏切り者を消すアメリカでの任務の最中、誤って彼の娘を射殺してしまう。
良心の呵責から一線を退くゴンだったが、組織はそんな彼を呼び戻し非情にも残された母親の殺害を命令する。
決断を迫られたゴンは贖いの為、単身韓国に渡るのだが…。

予告映像

感想

韓国版『96時間』とも言えるアクション映画『アジョシ』で名を馳せたイ・ジョンボム監督最新作『泣く男』を観る。
物語は任務の最中、誤って少女を射殺してしまった殺し屋が贖罪の為、その母親を組織の魔の手から命を掛けて守るというもの。

『アジョシ』が勧善懲悪の悪党大掃除映画だったのに対し、本作は初めに主人公が「大きな過ち」を犯すところからスタート。
全編通してそれをどう償うかがポイントになってくるので、爽快感はなく終始重苦しい空気が流れる。

しかしこの主人公凄腕と言いつつ思いの外、被弾率が高い。
冒頭の暗殺シークエンスでは不意打ちしたにも関わらず撃ち漏らした用心棒に反撃されるなど、かなり危なっかしい。
腹を括ってからはさらにそれが顕著になり『狼/男たちの挽歌・最終章』のチョウ・ユンファもビックリな血まみれ具合である。
どう考えたって失血死するだろう(苦笑)。

ジョニー・トーの『フルタイム・キラー』を彷彿とさせるマンションでの銃撃戦、『ザ・レイド』さながらの流血格闘、『ボーン・アルティメイタム』で観た扇風機の仕掛け、『フェイス/オフ』風味の円形ホールでの撃ち合いなど、どこかで観たようなシーンが散見するのだがアクションの質は総じて高い。
個人的には乗用車にターゲットが乗り込んでトラックで押し潰すまでをワンカットで見せるシーンに一番驚かされた。

ただ米国のナイトクラブからスタートしたり、多国籍の殺し屋が登場するなど外市場を視野に入れた作りが鼻に付いてしまい、肝心の主人公の「贖い」という部分が薄れてしまったのが残念。
無関係な人間が巻き添えでバンバン殺されたり、命を狙われる母親が認知症の母を介護している設定も果たして必要だったのだろうか?。

主人公の選んだ決着の付け方はストイックで、男の友情的な要素も加わりなかなか趣があるのだが、終盤は展開を盛り込み過ぎていてもう少し丁寧に描い欲しかったというのが率直な感想。
テーマが違うので比べるのも野暮なのだが『アジョシ』越えとはならなかった…。