スタッフ&キャスト
原題: No Tears for the Dead
製作: 2014年 韓国
感想
物語は任務の最中、誤って少女を射殺してしまった殺し屋が贖罪の為、その母親を組織の魔の手から命を掛けて守るというもの。
『アジョシ』が勧善懲悪の悪党大掃除映画だったのに対し、本作は初めに主人公が「大きな過ち」を犯すところからスタート。
全編通してそれをどう償うかがポイントになってくるので、爽快感はなく終始重苦しい空気が流れる。
しかしこの主人公凄腕と言いつつ思いの外、被弾率が高い。
冒頭の暗殺シークエンスでは不意打ちしたにも関わらず撃ち漏らした用心棒に反撃されるなど、かなり危なっかしい。
どう考えたって失血死するだろう(苦笑)。
ジョニー・トーの『フルタイム・キラー』を彷彿とさせるマンションでの銃撃戦、『ザ・レイド』さながらの流血格闘、『ボーン・アルティメイタム』で観た扇風機の仕掛け、『フェイス/オフ』風味の円形ホールでの撃ち合いなど、どこかで観たようなシーンが散見するのだがアクションの質は総じて高い。
個人的には乗用車にターゲットが乗り込んでトラックで押し潰すまでをワンカットで見せるシーンに一番驚かされた。
ただ米国のナイトクラブからスタートしたり、多国籍の殺し屋が登場するなど海外市場を視野に入れた作りが鼻に付いてしまい、肝心の主人公の「贖い」という部分が薄れてしまったのが残念。
無関係な人間が巻き添えでバンバン殺されたり、命を狙われる母親が認知症の母を介護している設定も果たして必要だったのだろうか?。
主人公の選んだ決着の付け方はストイックで、男の友情的な要素も加わりなかなか趣があるのだが、終盤は展開を盛り込み過ぎていてもう少し丁寧に描い欲しかったというのが率直な感想。
テーマが違うので比べるのも野暮なのだが『アジョシ』越えとはならなかった…。