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『ゼロ・グラビティ』(2013年) IMAX 3D -★★★★★-

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スタッフ&キャスト

原題: GRAVITY
製作: 2013年  アメリ
時間: 91分
監督: アルフォンソ・キュアロン 
脚本: アルフォンソ・キュアロン 、ホナス・キュアロン   
音楽: ティーヴン・プライス 
出演: サンドラ・ブロック(ライアン・ストーン)
    ジョージ・クルーニー(マット・コワルスキー)
    エド・ハリス(ミッション・コントロール(声のみ))
    オルト・イグナチウッセン(アニンガ(声のみ))
    ファルダット・シャーマ(シャリフ(声のみ))
    エイミー・ウォレン(シャトル船長(声のみ))
    バシャール・サヴェージ(ISS船長(声のみ))

あらすじ

地表600キロメートル。
そこは生き物の生存が許されない極限の世界。 
ライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)はNASAの依頼を受けメディカルエンジニアとして特殊なミッションに参加していた。
だがベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)と共に船外活動を行っている最中、突如発生したスペースデブリによってスペースシャトルが大破。
反動で2人は宇宙空間に投げ出されてしまう。
地上との交信が途絶え、残された酸素も僅かとなる中、彼らの決死のサバイバルが始まる…。

予告映像

感想

ハリーポッターとアズカバンの囚人』『トゥモロー・ワールド』のアルフォンソ・キュアロン監督が挑んだ前人未到の映像体験。
私はIMAX 3Dで観賞したのですが、あまりの凄まじさに場内が明るくなってもしばらくの間、立ち上がる事が出来ませんでした。
 
物語は宇宙空間に取り残された宇宙飛行士のサバイバル劇。
それ以上でもそれ以下でもありません。
ですがストーリーが限りなくシンプルであるが故に、その圧倒的な映像美と普遍的な人間ドラマに惹き込まれていく。
 
出演者は実質的にサンドラ・ブロックジョージ・クルーニーの2人だけですが、特に主人公
のライアン・ストーン博士を演じたサンドラ・ブロックの演技が素晴らしい。
本作は心に傷を負った彼女の再生の物語でもあるのですが、その細かな変化を見事に演じ切っています。
 
美しい地球の姿をバックに展開する船外活動から、『プラネテス』でお馴染みのスペースデブリが襲来し漆黒の宇宙空間に放り出される背筋も凍るファーストカット
アルフォンソ・キュアロン監督は『トゥモロー・ワールド』でも驚異の長回しを披露していましたが、CGによる処理が加わっているとはいえ数百キロ離れた宇宙空間からヘルメットの中までシームレスに1カットで繋がっていく様は圧巻。
 
アバター』をはじめ、これまでの3D映画は平面の映像を等間隔に置いただけの単なる「飛び出す絵本」でしたが本作はその部分が改善され没入感が劇的にアップ。
全編通して主観映像が多い事もあり、まるで自分自身がその場に居合わせたかのような臨場感を味わう事が出来ます。
これほどまでに「映像体験」という言葉が相応しい映画は初めてで、体感時間も91分よりずっと長く感じました。
 
それでいて単なるアトラクション映画に止まらない深いメッセージ性も内包されており、物語中盤に胎児を思わせる印象的なカットがあるのですが、最後まで観るとその深い意図に気付かされ「生きる」という意味を今一度見つめ直す事になるでしょう。
逆境に立ち向かい原題の「gravity(重力)」を感じるクライマックスも感動的です。
 
全体的な満足度は非常に高い作品ですが冷静に考えると難点も存在します。
例えば予想以上に騒がしいBGM。
宇宙空間では音が伝わらないので無音にするかと思いきや、大半のシーンに音楽が付いていてビックリ。
これに関しては孤独感などを和らげる為に意図的に多用したと考えられますが、それでもところどころ「やり過ぎでは?」と感じるシーンがありました。
 
それと宇宙考証などが綿密に行われているのに対し、事故原因がロシアというのはハッキリ言って納得行きません。
だってああいう事を平気でやるのは普通に考えたら中国ですよね?。
現実問題として衛星破壊実験とか行ってる訳ですし違和感を覚えます。
国際宇宙ステーションがやられてるのに中国のアレが健在だったりと政治的な意図が見え隠れしたのが非常に残念。
そういうのとは切り離して公平に描いて欲しかった。
 
 ここまで長々と書いてきましたが、とにかく本作は巨大なスクリーンで3D観賞するべき作品であり、2D版やレンタルorセルを待って観るなんて事は絶対にしてはいけません!!。
魅力が伝わらず間違いなく評価が下がります。
字幕だとどうしても文字を追ってしまうので吹き替え版をチョイスし、少し観辛いと思うくらい前の方の席を陣取って、視界一杯に広がる3D映像を「体感」する事を強くお薦めします!。