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『ウォッチメン』(2009) -★★★★☆-

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スタッフ&キャスト

原題: WATCHMEN
製作: 2009年 アメリ
時間: 163分
原作: デイヴ・ギボンズ
監督: ザック・スナイダー 
脚本: デヴィッド・ヘイター 、アレックス・ツェー 
音楽: タイラー・ベイツ 
出演: マリン・アッカーマン(ローリー・ジュスペクツィク(シルク・スペクター))
    ビリー・クラダップ(ジョン・オスターマン(DR.マンハッタン))
    マシュー・グード(エイドリアン・ヴェイト(オジマンディアス))
    カーラ・グギーノ(サリー・ジュピター(初代シルク・スペクター))
    ジャッキー・アール・ヘイリー(ウォルター・コバックス(ロールシャッハ))
    ジェフリー・ディーン・モーガンエドワード・ブレイク(コメディアン))
    パトリック・ウィルソン(ダン・ドライバーグ(ナイトオウル))
    スティーヴン・マクハティ(ホリス・メイソン(初代ナイトオウル))
    マット・フルーワー(エドガー・ジャコビ(モーロック))
 ローラ・メネル(ジェイニー・スレイター)
 ロブ・ラベル(-)
 ゲイリー・ヒューストン(-)
    ジェームズ・マイケル・コナー(-)
 ロバート・ウィスデン(リチャード・ニクソン
    ダニー・ウッドバーン(-)

あらすじ

世界で起きた数々の事件を見守ってきたヒーロー“ウォッチメン”。
だが時代は冷戦へと移り変わり何時しか彼等の活躍の場は無くなっていた。
 
ソ連と米国間の緊張が高まり世界に終末感が漂う中、ウォッチメンの1人・コメディアンが何者かの手によって殺害される。
事件の裏に何者かの陰謀を感じ取ったロールシャッハ単身捜査を開始するのだが、其処には世界を揺るがす驚愕の真実が待ち受けていた…。

予告映像

感想

史実とフィクションを巧みに融合し、高い年齢層の読者をも魅了した同名アメリカン・コミックを『300』のザック・スナイダー監督が映像化したこの作品。
評判は賛否両論、総尺も163分と長丁場なので観る前は不安だったのですが、アメリカ映画のお約束を打ち砕く捻りの効いた展開と視覚効果を多用した完璧な映像の数々に私はグイグイ引き込まれてしまった。
 
必要以上にエグイ暴力描写や、やたらねちっこいセックスシーンなど、「そこ必要?」と思うほど過激な描写で損をしている気もしますが、
テーマ事態は人類が絶対に成し遂げる事が出来ない「世界平和」という理想を、どうしたら実現出来るか大真面目に描いています。
ズバリやっている事は侵略SFや『ガンダム00』と同じなんですが、このジャンルで描かれると非常に新鮮。
 
正義の味方が濡れ衣を着せられ、大量殺戮を行った張本人は英雄となり、その真実を公表しようとした主人公が殺されるという衝撃的な結末は『ダークナイト』と同じく「ヒーローの存在意義」を問う骨太なドラマであり、
我々の言う「平和」など所詮誰かの犠牲の上に成り立つ紛い物なのだという痛烈なメッセージと、
辛い真実より口当たりの良い嘘の方が価値ある物という皮肉たっぷりの結論も興味深かった。
 
善と悪の色分けをせず綺麗事では終わらせない展開は正にヒーローを題材としたアンチヒーロー映画と言って良いでしょう。
エログロナンセンスなので万人にはオススメ出来ませんが非常に見応えのある知的な作品でした。
私はこういう物語大好きです。