旧いまここにあるもの

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土曜プレミアムで放送された『SP 革命篇』を観る。

 
二夜連続放送された『SP』劇場版の後編に当たる「革命篇」を観る。
 
率直な感想として
「野望篇のチープさは何だったのか?」
と思えるほど気合が入った作りに私は心底驚かされた。
(合成部分以外は)
 
本作の醍醐味である堤真一SPを筆頭とした一派による国会議事堂占拠シーンはSPを含め「あんなに裏切り者が居て良いのか?」と思ってしまうが、衛視が銃を所持していないなど警備の脆弱さを指摘しながら確りと手順を踏んで行っており唸らされた。
 
そして堤SPの目的。
それは当時の世相を反映してか腐敗した政治家を糾弾し国民の目を覚まさせるというのがまた燃える。
テレビやマスコミを利用し献金や裏金など彼らの罪を暴き出し、国民にまざまざと真実を見せつけて行く様はヒロイックですらある。
しかも官僚の名前が微妙に本物をもじっていて「杉村○蔵」をモデルにしたと思われる出しゃばり議員が一喝されるシーンには思わず拍手を送りたくなった。
 
「君たちは日本の安全を脅かしている!!」という悪徳総理の点数稼ぎな指摘を
「日本はこんな事では動じない」
「次々と首相を挿げ替え、派閥争いに明け暮れてるお前たち政治家こそが日本の安全を脅かしている」
と論破するのは実に痛快。
もう堤SPが主役でよくないか?。
 
そんな訳で影が薄まってしまった岡田SP御一行様。
あれだけSPが居て、このチーム以外全員寝返っているシチュエーションは強引という他ないが、抵抗してくれないと面白くないので良しとしよう。
 
早速、彼等を目の敵にしている別のSPチームと記者クラブで遭遇し戦いに発展。
一瞬の隙を付いて銃を奪った所から狭い部屋で10人ほどの人間が入り乱れて戦うのたが、カメラワークを含めかなり気合が入っていて安っぽさは皆無。
動きも早いし、確り銃口から体を逸らして反撃するなど、プロらしい動きを見せる。
 
更に岡田SPが単独でパワーファイター的な男と戦うのだが、力技で捻じ伏せて来る相手に関節技で対抗する岡田SPの戦い方の違いを出すなど描き方が非常に上手い。
岡田くんが本作の為に肉体作りに励んだというだけあって格闘シーンはかなり気合が入っており、アイドルであるにも関わらずノースタントかつマジ当てでアクションをこなしているのが素晴らしい。
 
コピー用紙。ガムテープ。画鋲。カッター。のり。etc.
要するに文房具を使って次々と即席の罠をこしらえ敵の兵力を無力化していく件は某伝説の傭兵が主役のスニーキングゲームを見ている様で面白い。
(ただし、この程度の罠に引っ掛かる相手はどう考えたって素人である)
 
そして物語は遂にTVシリーズからの因縁を持つ悪徳総理の断罪に移るのだが、こいつがまたしぶとい。
親玉だけあって相当のタヌキおやじである。
義憤に駆られた堤SPだが、ここに来て権力という欲に溺れた香川照之議員と仲間たちに裏切られる。
(しかし、あのタイミングだとテロリストと香川議員がグルだと宣言している様なものだろう?)
 
そこに岡田SP御一行が踏み込み「野望篇」ではピンチになっても発砲しなかったのに、要人たちが入り乱れる議場内では誤射も恐れず発砲しテロリスト達と激しい銃撃戦を繰り広げる。
大勢の人間が動き回る中で繰り広げられるアクションはカメラの配置などを考えると相当なテイク数を重ねた事が伺えその拘りっぷりに脱帽。
何気にエキストラのおじさんおばさん方のリアクションも真に迫る物があった。
 
そこから首相官邸側に通じる避難通路内での岡田SPと堤SPの師弟対決。
ガン=カタ+CQCといった感じの零距離での銃の回避と格闘はこれまた迫力満点。
最終的に首相官邸屋上にて決着が付くのだが、最高の見せ場であるにも関わらず合成感丸出しのちゃちぃ映像が私の興奮に水を指す。
場所柄ロケが望めない事は重々承知だが、それにしたって酷い出来だ。
議事堂内のセットやロケなど、ここまでかなりの部分に本物感を出していただけに残念で仕方ない。
 
何時も通り手錠を携帯していない岡田SPのボケによって事件は解決したかに思われたが、高みの見物を気取っていたインテリ共の自宅が公安の到着直前に爆破され(何故かここのCGは出来が良い)、投獄された堤SPに警護官が耳打ちするなど新たな敵の存在を匂わせつつ映画は幕を下ろす。
 
合成技術以外はかなり完成度が高く、ツッコミ所のオンパレードだった「野望篇」の流れで観た私は度肝を抜かれた。
役者陣では岡田くんの体当たりなアクションも素晴らしかったのですが、やはり堤真一さんの演技に全部持って行かれた気がします
目力とか半端ないですし、覚悟を決めた表情で国民に信を問う鬼気迫る壇上でのシーンはぐいぐい引き込まれました。
 
社会風刺の効いたストーリーを含め、なかなか野心的な作品でした。
というか、なんでこの感じで「野望篇」作らなかったの?。