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『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(2007年) -★★★★☆-

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スタッフ&キャスト

原題: GONE BABY GONE
製作: 2007年 アメリ
時間: 114分
原作: デニス・レヘイン
監督: ベン・アフレック 
脚本: ベン・アフレック 、アーロン・ストッカード 
音楽: ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ 
出演: ケイシー・アフレック(パトリック・ケンジー
     ミシェル・モナハン(アンジー・ジェナーロ)
     モーガン・フリーマン(ジャック・ドイル刑事)
     エド・ハリスレミー・ブレサント刑事)
     ジョン・アシュトン(ニック・プール刑事)
     エイミー・ライアン(ヘリーン・マックリーディ)
     エイミー・マディガン(ビー・マックリーディ)
     タイタス・ウェリヴァー(ライオネル・マックリーディ)
     マイケル・ケネス・ウィリアムズ(デヴィン)
     エディ・ガテギ(チーズ)
     マーク・マーゴリス(レオン)
     マデリーン・オブライエン(アマンダ・マックリーディ)
     スレイン(ブッバ)

あらすじ

私立探偵として生計を立てるパトリック・ケンジーとアンジー・ジェナーロの下に失踪した姪を探して欲しいとの依頼が舞い込む。
母親はジャンキー同然、警察の捜査もあてにならない。
地元の人間ならではの人脈を駆使し、さっそく調査を始めるパトリックとアンジー
これは失踪か?、はたまた誘拐か?。
事件の真相を探る内、2人は驚愕の真実に辿り着く…。

予告映像

感想

役者としての評価はイマイチだが作り手としては映画賞の常連であるベン・アフレック監督デビュー作。
最新作『アルゴ』の公開に合わせ「午後のロードショー」にて放送されたので鑑賞。
 
役者陣だけ見てもベン・アフレックの弟であり『ジェシー・ジェームズの暗殺』などで知られるケイシー・アフレックと『M;i.Ⅲ』『ミッション:8ミニッツ』のミシェル・モナハン
脇を固めるエイミー・ライアンやタイタス・ウェリヴァーの演技も良い味を出しており、そこにエド・ハリスモーガン・フリーマン、2人の名優が花を添えます。
時たまキャストだけ豪華で内容はペラペラって作品がありますが、これは物語も確りと伴っていてとにかく素晴らしい。
 
ボストンで起きた少女失踪事件を巡り静かで激しい人々の葛藤のドラマが描かれる。
愛されない子供。薬中のダメ親。かつて子供を守る為に法を曲げた警官。etc.
真実が二転三転し正義の意味が限りなく曖昧になっていく…。
「正しい行い」とは法律を守る事なのか?。それとも義理人情で行動する事なのか?。
人は間違いを認め変わる事が出来るのか?。それとも同じ愚行を繰り返すのか?。
 
主人公の選択は確かに法律に則った立派な行いだが、その選択を世の中の汚い部分を見て来た人物は「数十年後後悔するぞ」と否定する。
描き方としては融通の利かない頭でっかちな主人公に「イラッ☆」と来る感じになっているのだが、彼らの言い分のどちらが正しいかなんて解らない。
いやむしろ最後は自分の罪悪感云々の話になっていて「実は子供の事なんてどうでも良いのではないか?」とすら思えてくる。
 
子供の幸せを考え行動し結果として逮捕された人々と、子供を蔑ろにしてまた男を漁りに出掛ける人間。
そんな大人たちに翻弄されながらもただ今を生きていくしかない無垢な子供の対比が印象的だ。
 
映画は明確な答えを出さないまま消失感と孤独感。そして僅かな希望を残して幕を閉じる。
身近な題材だけに投げかけられたメッセージは重く心に響く。
 
「衝撃の結末」と言えば確かにそうだが、それ以上に答えが出ない・出せないもどかしさの方が大きいと感じる。
観ている者をこれほど悩み考えさせる映画も珍しいのではないだろうか?。
これがデビュー作とはベン・アフレック恐るべし!!。