良改変と評判の実写版に合わせてオリジナル版『心が叫びたがってるんだ。』が地上波初放送されたので遅ればせながら録画鑑賞。
後に『鉄血のオルフェンズ』でガンダムシリーズを手掛ける長井龍雪監督と脚本の岡田磨里さん、そして名実ともに国民的アニメとなった『君の名は。』の田中将賀さんがキャラクターデザイン・総作画監督で参加しているとあって、劇場公開時より今回の方が一般層の注目度は高かったに違いない。
物語は「言葉」によって大切なものを失い、それによって話す事ができなくなってしまった少女が、ひょんな事から学校行事の実行委員に任命され、そこで出会った仲間たちと共に「心に秘めた思いを伝える手段」を考えるというもの。
時代を先取りした導入部から岡田脚本特有のドロッとした部分が見え隠れしつつ、最終的に爽やかな余韻が残るラストに着地させるあたり流石は長年コンビを組んできた長井監督といったところか?。
アニメアニメしていない主人公たちも等身大で共感し易く、同時に部活仲間や同級生、彼等を取り巻く教師や家族といった人々にもきちんとスポットを当て見せ場を用意しているのが素晴らしい。
これぞ正しく群像劇である。
「言葉」の重さや、そこに込められた意味を軽んじている時代だからこそ、本作で描かれるテーマは心に響き、口に出して伝える事の大切さが描かれる終盤の展開は感動を呼ぶ。
押しつけがましくない感動も好印象で、心の底から「あの頃に戻りたい!!」と思わせてくれる罪作りな青春群像劇だった。
それにしても全てのお膳立てをしたあの先生、まるで未来を観て来たかのようだったが一体何者なのだろうか?。