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『ガルム・ウォーズ』(2014年) -★★☆☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: Garm Wars: The Last Druid
時間: 92分
製作: 2014年 日本・カナダ合作
監督: 押井守
脚本 ジェフリー・ガン 押井守
音楽: 川井憲次
出演 メラニー・サンピエール(カラ)
    ランス・ヘンリクセン(ウィド)
    ケビン・デュランド(スケリグ)
    サマー・ハウエル(ナシャン

あらすじ

遥か古代、戦いの星アンヌンには、創造主ダナンによって生み出された「ガルム」と呼ばれる存在が8部族に分かれて生息していた。
だが、ある時ダナンが星を去り、残されたガルムたちはアンヌンの覇権をめぐる戦いをはじめ、長い時を経て5つの部族が絶滅し、残された3つの部族もいつ終わるとも知れない戦いを続けていた。
そんなある日、死に絶えたと伝えられていたダナンの言葉を伝える上位存在「ドルイド」の生き残りナシャンが姿を現す。
個体が死ぬと記憶がクローンに転写され永遠に「今」を繰り返すガルムたち。
戦場で出会った異なる部族のカラ、スケリグ、ウィドは自分たちの起源を知るべく、ナシャンを連れ聖地「ドゥアル・グルンド」を目指すのだが…。

予告映像

感想

押井守監督を筆頭に伊藤和典さんやあのジェームズ・キャメロンが名を連ね特撮とアニメを融合させた革新的な映像を目指して企画された『ガルム戦記』。
長らく凍結されていたこのプロジェクトが押井さんの手で直々にサルベージされ、この度ようやく日本凱旋公開と相成りました。

率直な感想としては良くも悪くも押井作品。
それもかなり純度の濃い仕上がりとなっており、大衆受けを狙ったエンタメ性や、ライトファンタジー的な分かり易い物語を期待すると盛大な肩透かしを食らいます。
事実それなりに免疫のある私ですら繰り返される抒情的な風景と川井節炸裂のBGMによる環境ビデオ的映像によって何度か眠気を誘引されました(苦笑)。

ケルト神話を下敷きにした用語や世界観。
有機的なデザインの可変戦闘機に、お馴染みのバセットハウンドや大空を象徴的に舞う鳥など氏の特色がいかんなく盛り込まれると同時に、攻殻機動隊』を思わせる電脳戦や『イノセンス』で描かれた身体性、スカイ・クロラ』の「キルドレ」に通じる「ガルム」の設定から、パト2』のイクストル戦を彷彿とさせる巨人との闘いなど、ファンならばニヤリとさせられること請け合い。
主人公が纏う赤い衣装なんて『アサルト・ガールズ』のそれと瓜二つである。

圧倒的なビジュアルイメージは素晴らしいの一言でそんじゃそこらのハリウッド映画など軽く凌駕しているのですが、製作費の問題かそれを100%のクオリティで映像化出来ていない事が悔やまれます。
パンフレットを読むと撮影は制約とアクシデントの連続だったそうで、そういった事実を踏まえるとこの形まで持ってきただけ凄いと思うのですが、2014年の作品と考えるとやはりところどころ見劣りしてしまう…。

物語もきちんと読み解けば深いメッセージやテーマ性が見えてくるのですが、例によって一度の鑑賞では全てを把握できず、一見さんであれば呆気にとられるに違いないラストを含め、どう足掻いても一般受けは望めない玄人向けな作品でした。