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午後ロー映画あれこれ(『沈黙の追撃』・『弾突 DANTOTSU』・『姑獲鳥の夏』・『ブラック・ウォーター』・『オーメン』・『パラサイト』)

HDDレコーダーに貯まった午後ロー放送作品で単発で記事にするほど印象深くなかった作品を列挙してみる。
 
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「沈黙」とは「スティーヴン・セガール」を指す言葉である事は映画ファンなら周知の事実であり、ご多分に漏れず本作もそんな作品の1つ。
そろそろ語尾に付ける二字熟語が苦しくなって来た『沈黙の艦隊』とは何の関係もない『沈黙の追撃』。
 
今回はマッドサイエンティストによって洗脳された元軍人達と戦うのですが、もとは善人であり言うなれば被害者である相手をセガールが何の躊躇いもなく何時もの乗りでサクサクッと殺してしまうからビックリする。
洗脳とか扱うならそういう部分を掘り下げてドラマを作るのが普通なのに何がしたいのかサッパリ解らない。
 
セガール映画もいろいろあるがその中でも上位に入る手抜きっぷりで、目の前に戦車と武装集団が現れようと蹴散らしてしまうチートっぷりにも失笑。
一時期ガイ・リッチードミニク・セナ作品に出演していたヴィニー・ジョーンズが出てたなぁ~くらいの印象しか残らず、本国でビデオスルーされるようなこんな作品ですら関西弁バリバリのセガールに免じて律儀に劇場公開する日本人の義理堅さに頭が下がる。
 
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ごく稀にセガール映画なのに邦題で「沈黙」と付かないタイトルがある。
なぜかそういう作品は良作である事が多く、この『弾突 DANTOTSU』も近年のセガール映画としてはかなり立派な出来栄え。
 
何が立派かと言えばストーリーと呼べる物が存在し、それに準じてセガールがきちんと演技をしているのだ。
そんな事で感動するなんて普段どんだけ酷いんだよって話だけど、疎遠になった娘との関係や親友と思われた元同僚の裏切りなど観るに値するドラマが展開するのだから大したもの。
 
アクションシーンもなかなか気合いが入っており及第点なのだが、弾丸飛び交う銃撃戦の真っただ中に助けた娘を向かわせる頭の可笑しい仲間と、悪党だったとは言え亭主を殺した元旦那と呆気なく復縁する妻の神経が全くもって理解出来なかった。
 
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京極夏彦さんの原作を奇才・実相寺昭雄監督が映像化した『姑獲鳥の夏』。
実相寺昭雄監督と言えばその独特の映像センスが庵野秀明さんや押井守さんなど後の多くのクリエイターに影響を与えた事で有名ですが、本作も観客の不安を煽るようにカメラのアングルが常に斜めになっていたり、影を使った演出など独自のカラーが如何なく発揮されています。
 
言葉遊びを含んだ会話劇によって展開する奇妙な物語と、上記の実相寺演出が相まって非常にアクの強い作品に仕上がっており間違っても万人向けの作品とは言えません。
好き嫌いがバッサリ分かれる事が容易に想像出来、私自身正直に白状するとその異様な世界観に面食らってしまいました。
 
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釣りを楽しむべく訪れたマングローブの森で遭難した家族を襲った実話を映像化した『ブラック・ウォーター』。
凡作と思いきや無慈悲なサバイバル劇として良く出来ている。
ノンフィクションであるが故に派手さはなく聊か地味ですが映画のセオリーが通じず先の読めない展開にハラハラさせられっぱなし。
出演者は無名ですが極限状態の演技が素晴らしく、下手なCGに頼らず本物のワニを使ったという映像も迫力満点。
観ていて気持ちの良い物語ではありませんが作り手の真摯な姿勢が伝わってくる作品でした。
 
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シリーズ最低作である『ア・グッド・デイ・トゥー・ダイ・ハード』を手掛けたジョン・ムーアが以前監督した『オーメン』。
アメリカじゃ古典中の古典だがキリスト教に関する知識がないといまいちピンと来ない作品。
 
出演作は多くないのに何故か一度見ると忘れないリーヴ・シュレイバーと、ボーンシリーズでニッキーを演じたジュリア・スタイルズが、6月6日午前6時に誕生し頭に「666」のアザを持つ悪魔の子ダミアンを押し付けられて、やりたい放題された挙句、「米国を裏から操ったるでぇ~」ってな感じのダミアンのドヤ顔で幕を下ろす映画。
 
正直なところ、この物語がどういったメッセージを伝えようとしているのかイマイチ解らない。
見た目は子供でも悪魔なら容赦なく殺せって事?。
それとも神(この場合キリスト)を信じないとこうなるぞっていう脅し?。
どっちみち日本人には実感の湧かないテーマである。
 
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ロバート・ロドリゲスが若手役者を多数起用して制作した今見直すと『IWGP』的に豪華なメンバーが参加しているドリーミーな侵略映画。
イライジャ・ウッドジョシュ・ハートネットジョーダナ・ブリュースターなどの若々しい姿が観れる一方、ロバート・パトリックファムケ・ヤンセンなど映画好きにはお馴染みの顔ぶれも並んでいて実に面白い。
古典的な侵略物に青春映画を合わせた様な作風で、ロドリゲス作品にしてはあまり暴走しておらず大人しい印象で言われなければ気付かないかもしれない。
しかし大袈裟すぎて逆に笑えるスプラッター描写や、怪獣映画みたいになってしまうラストなど要所要所監督の趣味が見え隠れしており、どうしても我慢出来なかったのだろう(笑)。
 
寄生されて首が飛んだ先生が最後に元通りに戻っていて「どんなご都合主義だよ!!」と思ったけど、そんなテキトーさもまたこの作品の味なのだと思う。