旧いまここにあるもの

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「踊る」よりは「ケイゾク」っぽくて、虚淵テイストよりもI.Gカラーが強かった『サイコパス』

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アニメ業界の人間が2013年も引き続きその才能に頼りっきりな超売れっ子・虚淵玄さんと、『パトレイバー』に着想を得て制作した『踊る大捜査線』が大ヒットしたガチオタな本広克行さんが、プロダクションI.Gとタッグを組んで作り上げた近未来SF刑事ドラマ『PSYCHO-PASS』が最終回を迎えました。
 
ノイタミナ換算だと1クール11話なので、2クールの本作は22話で完結。
個人的には「どうせ劇場版に続くんだろ?」と思っていたら、予想以上にバッサリと終わらせてビックリしております。
 
しかしこの作品は話が面白いから誤魔化せていましたが作画のレベルは相当低かったと言わざるを得ませんね。
1話目から「えっ」て感じでしたし、整っていると思えた回って全体で5話あるかないか程度なんだけど、マンガと同じでストーリーが魅力的なら絵なんて二の次なんだなと気付かされました。
 
サイバーパンク的世界観に昔ながらの刑事ドラマの要素を組み込んでいますが、私はI.G作品へのオマージュが散りばめられたセルフパロディ的なアニメという印象が強かったです。
そもそも第1話の状況設定はまんま『イノセンス』でしたし、過去の書物から引用する会話は押井さん的なら、サイボーグな公安局局長が榊原良子さんだったり、槙島聖護はそのカリスマ性や白を基調としたファッションがモロ『攻殻S.A.C 2ndGIG』のクゼ・ヒデオだったり、シビュラシステム周りは『東のエデン』のジュイスを彷彿とさせます。 
そういった意味で虚淵さんの色合いはそれほど感じず(まぁ深見真さん&高羽彩さんとの共作ですし)、良くも悪くもI.G作品だなと…。
 
で、問題の最終回。
私としては狡噛慎也槙島聖護を呆気なく撃ち殺してしまい拍子抜け。
後半の物語を暗示していたハイセンスなOP映像みたいに常守朱が加わって三つ巴のドラマがあるのかなぁ~と期待していたのですが、気付けば決着が付いていたという…(苦笑)。
 
ここまで純然悪として圧倒的な存在感を誇って来た槙島が急に小者になってしまい、もうちょい死闘を演じて欲しかったというのが正直なところ。
少佐とクゼみたいにしろとは言わんけど、なんかこうもう一捻り欲しかった。
この2人って表裏一体・2人で1つの存在ってイメージがあって、どちらかが死ぬともう一方も生きれない気がしていたので共倒れか生死不明で終わると思っていたのですが…。
 
あと法の執行者たる「ドミネーター」と、法を越えた存在を裁く「SP101」。
常守と狡噛の立場を表すかの様な2丁の銃の描き方も思ったほど深くなかったし、う~む。
 
そしてエピローグであるBパート。
矛盾を孕んだシビュラシステムの統治が続く世界でありながらサブタイトルは「完璧な世界」という皮肉にはニヤリとさせられます。
通常この手の物語は主人公がシステムをぶっ壊して終わる物ですが、現実問題としてそうはならないというのがリアルですね。
 
社会を守るにはこの悪法に委ねるしかないというやるせなさ。
要するに人間は未熟という事か?。
 
狡噛を止められなかった常守と父の死を目の当たりにして執行官墜ちした宜野座さんの負け犬コンビ+唐之杜志恩との衝撃的なベットシーンに全部持って行かれた六合塚さんが新人の監視官を迎え入れた所で物語は幕を閉じる。
ループではないがあえて大きな変化を付けず1話の状況を繰り返したのは意味深ではあるが、やはりスッキリしない。
 
肝心の狡噛の行方、ある種の生き甲斐であった槙島という存在が消えた後、何を成すのか?。
最後に読み掛けの失われた時を求めて 第一篇 『スワン家の方へ』」が映るので、その内容が狡噛の心情を表しているのかもしれませんが私は未読なのでサッパリ解りません(苦笑)。
 
誰でも理解出来る結末ではなく含みを持たせるのもI.Gらしいのですが、20話あたりまでの盛り上がりを考えるとやはり尻すぼみした感は否めませんね。
素人が偉そうに言ってもあれですが、もっと面白く出来た様な気がするので残念です。
けどまぁ近年の2クール物にしては中弛みせず最後まで楽しめた作品でした。