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『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(2013年) -★☆☆☆☆- (ネタばれ含む)

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スタッフ&キャスト

原題: A GOOD DAY TO DIE HARD
製作: 2012年 アメリ
時間: 98分
    セバスチャン・コッホ(コマロフ)
    ラシャ・ブコヴィッチ(アリク)
    コール・ハウザー(コリンズ)
    ユーリヤ・スニギル(イリーナ)

あらすじ

幾度となくピンチを切り抜けて来たジョン・マクレーンは疎遠になった息子がロシアで逮捕され裁判に掛けられると聞き一路モスクワに向かう。
だが法廷に到着するや否や爆破事件が発生、謎の人物と共に逃走する息子の姿と、それを追う武装集団に遭遇する…。

予告映像

感想

まず始めに邦題が終わる終わる詐欺で「ラスト・デイ」とかになってますが、そんな台詞も描写も本編には一切登場しません。
何故、素直に『ダイ・ハード5』にしなかったのでしょうか?。
「ラスト」とか「クライマックス」とか言えば客が入ると本気で思っているなら、そんな奴等は今すぐ全員クビにするべきです。
 
さて世界中が待ち望んだであろうシリーズ最新作でありながら評判が非常に悪い「ア・グッド・デイ・トゥ・ダイ・ハード」ですが、これは確かにつまらないですね(;一_一)
 
開始10分ほどで爆破と共に始まる怒涛のカーチェイス
モスクワに遠征したマクレーンが逃げる息子を追う重装甲車に「英語を話せ!!」とそこらのロシア人から奪った一般車でタックルかます馬鹿馬鹿しくも素晴らしいアクションシーンが展開する所までは非常に良かった。
 
それなのに全てのパワーをここで使い切ったのか後は新鮮味のない派手なだけのドンパチが20分置きに繰り広げられるだけで、およそストーリーと呼べる物が存在しません。
真面目な話「アクションを繋ぐ為だけに小話が挿入されている」といった印象です。
 
しかも、このご時世にチェルノブイリだ、放射能だ、濃縮ウランだ、と空気を読まない脚本も本当に酷い。
封鎖地区に防護服もなしに剥き身で立ち入るマクレーン親子や、放射能を中和するとんでもガスまで飛び出して、世界で一番核兵器保有し唯一実戦使用した国なのにその認識の甘さには毎度の事ながら呆れるばかり。
私は娯楽は娯楽と割り切れるタイプですが福島の原発事故以降こういった脚本を何の配慮もなく上げてくる米国人の能天気さは正直言って笑えません。
 
アクション映画の醍醐味であるはずの敵勢力も、その目的やキャラ付けが貧乏な家のカルピスくらい薄く、倒してもカタルシスの欠片も感じない。
ラストなんてヘリのローターで悪党の親玉を人肉ミンチにしたら、怒った仲間が増援も呼ばず特攻を仕掛けて自滅するという失笑展開に開いた口が塞がりません。
 
そもそもこの映画、父マクレーンがセガールばりに無敵でハラハラ感皆無。
ハインドを有するほどの敵組織が気付けばロクな装備もないマクレーン親子に1人残らずサクッと皆殺しにされる始末。
何百発も撃ち込まれた銃弾は体を避けて飛び、高層ビルから落ちても脱臼すらしない。
「ハリウッド映画の主人公なんてそんなもんだ」
と言われればそれまでですが、今までは満身創痍で勝つギリギリ感が確かにあった。
 
しかも事件に巻き込まれるシリーズ伝統のプロットも息子を助ける為にマクレーンが自ら進んで巻き込まれに行くため破綻しており、恒例の「ぼやき」もすっかりなりを潜めハッキリ言ってダイ・ハードである必然性を全く感じません。
 
父と息子がタッグを組んでいるも関わらずバディムービーとして『3』や『4.0』に遠く及ばず、親子の描写にしても前作でのルーシー(娘)との一件の方がよっぽど充実していた。
ダイ・ハード好きをアピールして監督の座を勝ち取ったレン・ワイズマンが作り上げた『ダイハード4.0』がシリーズの流れを踏襲した娯楽大作だったのに対し、本作はブルース・ウィリスが出演しているだけの
「どこにでもあるただのアクション映画」
といった感じで本当にガッカリしました。