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『007 スカイフォール』(2012年) -★★★★☆-

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スタッフ&キャスト

原題: SKYFALL
製作: 2012年 イギリス/アメリ
時間: 143分
監督: サム・メンデス  
脚本: ニール・パーヴィスロバート・ウェイドジョン・ローガン
音楽: トーマス・ニューマン 
出演: ダニエル・クレイグジェームズ・ボンド
    ハビエル・バルデム(シルヴァ)
    レイフ・ファインズ(ギャレス・マロリー)
    ナオミ・ハリス(イヴ)
    ベレニス・マーロウ(セヴリン)
    アルバート・フィニー(キンケイド)
    ベン・ウィショー(Q)
    ジュディ・デンチ(M)

あらすじ 

トルコで任務を行っていたMI6のエージェントが殺害され機密情報が記録されたHDDが盗まれる事案が発生。
007が犯人を追跡するもMの強引な命令により仲間に誤射され行方不明となってしまう。
 
やがてそのHDDを盗んだ一味の手によってMI6の本部が爆破。
Mの下に「THINK ON YOUR SINS(お前の罪を思い出せ)」というメッセージが届く。
 
死亡したと思われた007はこの事件を受け再びMI6に戻る決意を固め、Mに恨みを抱く謎の犯人の手掛かりを追い一路上海へ飛ぶのだが…。

予告映像

感想

経済的な理由で長らく制作が見送られていたシリーズ第23弾にして50周年記念タイトル。
 
世界各国でシリーズ最高のヒットを記録し、作風的にも原点回帰を図った意欲作。 
全編『カジノロワイヤル』のクライマックスという位置付けだった復讐映画『慰めの報酬』から一気に舵を戻し、昔ながらのスマートでジョークの効いた007の再来である。
 
イントロ部分のトルコ市内での追跡劇はスピード感があり一気に映画の世界に引き込まれます。
市場でのカーチェイスからグランバザールの屋根を疾走するバイクチェイス
果てはショベルカーを振り回す列車上での攻防などハリウッド映画的な派手さに満ちた実にスリリングな導入部であり、そこからお馴染みのオープニングシーンへとシフトする流れは秀逸。
 
やがてMへの当て付けの様に行われるMI6への攻撃。
死の世界から蘇った007もMへの疑念を抱きつつ任務に就くものの2人の関係はぎくしゃくしっぱなし。
MはMで後任者にそろそろ引退しろとせっつかれ世代交代の波が押し寄せる。
その最もたる所が若々しいQの登場であり、作中では諜報作戦の重要性が軽視されるなど時代の変化が色濃く打ち出されていて実に興味深い。
 
そんな本作で悪役シルヴァを演じるのは『ノーカントリー』や『ビューティフル』で知られるハビエル・バルデム
今回もその独特の美声?とビジュアルで言動がホモくさいマザコンおじさんを怪演しております(笑)。

非情な決断を下してきたMが自分の罪=シルヴァと対峙する構図はこの物語の核となっており、ボンドもまたハイテクと奇策で襲い来るシルヴァを自身の捨て去った過去があるスコットランドの生家で迎え撃つ。
古きモノと新しいモノがせめぎ合い様々な意味での決別が描かれるラストは必見
 
映像はIMAX上映されているだけあって非常に美しく、鏡を使った凝り凝りの構図や陰影を強調しシルエットを浮かび上がらせるカットなど芸術的ですらある。
舞台もトルコ・上海・マカオ・ロンドン・スコットランド、そして間接的に日本の軍艦島まで登場し、エンドロールには漢字表記で「長崎県 軍艦島」とクレジットされ、いち日本人として嬉しくなりました。
 
アクション的にはアバンが一番派手でクライマックスが一番地味なので尻すぼみ感は否めませんが、合間に小粋な英国ジョークを挟みつつテンポ良く展開するので143分の長丁場も苦にならず最後まで楽しめました。