『ドラゴン・タトゥーの女』（2011年） -★★★☆☆-

スタッフ&キャスト

原題： THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO

製作： 2011年 アメリカ

時間： 158分

原作： スティーグ・ラーソン

監督： デヴィッド・フィンチャー 
脚本： スティーヴン・ザイリアン

音楽： トレント・レズナー 、アッティカス・ロス 
出演： ダニエル・クレイグ（ミカエル・ブルムクヴィスト）
 　　　 ルーニー・マーラ（リスベット・サランデル）
 　　　 クリストファー・プラマー（ヘンリック・ヴァンゲル）
 　　　 スティーヴン・バーコフ（ディルク・フルーデ）
　　　  ステラン・スカルスガルド（マルティン・ヴァンゲル）
 　　　 ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン（ニルス・ビュルマン）
 　　　 ベンクトゥ・カールソン（ホルゲル・パルムグレン）
 　　　 ロビン・ライト（エリカ・ベルジェ）
 　　　 ゴラン・ヴィシュニック（ドラガン・アルマンスキー）
 　　　 ジェラルディン・ジェームズ（セシリア）

あらすじ

月刊誌「ミレニアム」で大物実業家の不正行為を暴こうとして返り討ちに遭ったジャーナリストのミカエル（ダニエル・クレイグ）。

偽の情報を掴まされ逆に追及される立場となった彼の下にある依頼が舞い込む。

それは、とある大財閥の会長から40年前に起こった兄の孫娘失踪事件の調査をして欲しいという内容だった。

早速、現地に赴き聴き取り調査を始めるのだが、真実を探るうち当時起きた連続猟奇殺人事件が関わっている事に気付く。

自分１人では手に負えないと悟ったミカエルは天才ハッカーのリスベット（ルーニー・マーラ）を助手に指名するのだが…。

予告映像

感想

『ベンジャミン・バトン』や『ソートャル・ネットワーク』など近年は毒っ毛のない作品を手掛ける事が多かったデヴィッド・フィンチャーが久しぶりに原点回帰しハードな作品を撮ってくれました。

原作は知る人は知っているスティーグ・ラーソンの世界的ベストセラー小説。

既にスウェーデンで三部作ある原作が実写映画化されているのですが、今回はその中の第一部に当たる「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」をハリウッドで再映像化した形になります。

 

さて前置きが長くなりましたが端的に言えばこれは推理ドラマです。

とある老実業化から数十年前に起こった家族の失踪事件を探るよう依頼されたジャーナリスト（ミカエル）が思いがけない真実を掘り返し命を狙われながらも真実を暴くという筋立て。

それと並行して諜報活動・偽装工作・変装など素人離れしたスキルを持つ全身にタトゥーとピアスを入れた謎の女性（リスベット）の物語が同時に展開して行きます。

 

007ことダニエル・クレイグが落ちぶれた記者を演じているもの新鮮ですが、『ソーシャル・ネットワーク』でマーク・ザッカーバーグのガールフレンド役を演じたルーニー・マーラの衝撃的なビジュアルと体当たりの演技がとにかく凄まじい。

ネタバレになるので多くは語れませんが、彼女の生き方にしても出で立ちにしても能力にしても完全に浮いています（汗）。

 

関係者から聞き取り調査を行い失踪当時の状況・人間関係を整理しつつ、小さな断片をつなぎ合わせて新たな情報を発見していく流れがパズルを解いている様で実に面白い。

更に完璧主義者とも評されるデヴィッド・フィンチャーの紡ぎ出すクールな映像も全編に渡って炸裂しており、2時間半以上ある本編時間も決して苦になりません。

 

チート気味なリスベットが加わってから展開が一気に加速するため面喰いますが、彼女がコナンくんみたいなものだと考えれば問題なし（笑）。

二転三転するクライマックスもトンデモ展開ではなく、きちんと説得力がある物になっていたのも良かったです。

 

ストーリーに関しては言うまでもなく原作の力なのですが、役者の演技力や監督の演出手腕など観るべき部分は多い。

完成度に関して言えば特に文句はないのですが、問題があるとすれば作品の雰囲気をぶっ壊したお粗末なモザイク処理くらいでしょうか?。

日本はそういう部分は保守的なので無修正とは行かないにしても、あまりにもやっつけなんで笑ってしまった。

もうちょっとこう画面に馴染む様な処理方法があったでしょうに…。

 

今回のハリウッド版も原作の三部作全てを映像化する予定なのだそうですが続報は未だに入って来ません。

個人的にはメインキャストは元より変更される事が多い監督もフィンチャーのままやり切って頂きたいと強く思います。