旧いまここにあるもの

Yahoo!ブログ時代のアーカイブ。記事内のリンクが上手く機能しなかったり、タイトルが文字化けしたり、画像のアスペクト比が可笑しいのはダメダメな移行機能の所為。新ブログはこちら→https://imakokoniarumono.hatenablog.com/

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』暫定感想。(ネタバレあり・観覧注意)

イメージ 1
 
2007年9月のファーストインパクト・ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』
そこから数年の時を経て訪れたサードインパクトヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
遂に物語は誰も観た事がない領域へと足を踏み入れる…。
 
怒涛の95分間集中力切らさず観ようとしたけど途中で情報処理が追い付かなくなり思考能力がオーバーヒートしました。
なので今回は暫定版という扱いにしたいと思います。
 
予告を観た時も思いましたが率直な感想としては
「オレの知ってるエヴァンゲリオンと違う」
これに尽きます。
 
似て非なる登場人物&世界観に最初はサードインパクトの影響でシンジが並行宇宙にでも飛ばされたかと思ったのですが、蓋を開けてみれば『破』から14年も経過してるとか始まって10分足らずで衝撃のカミングアウト!!。
14年てTVシリーズのスタートから『Q』公開までの現実世界での経過時間とほぼ同じだけど意味あるのかね?。
 
そしてエヴァパイロットは歳をとらないという驚きの設定も提示されます。
アスカはエヴァの呪縛」といいますが、これがリツコが警告していた「ヒトでなくなってしまう」という事なのでしょうか?。
予告映像などで大人たちの姿が一切登場しなかったのはこういう理由だったのね。
 
浦島太郎状態の碇シンジ同様、観客はこの14年後の世界に放り出され空白の期間に何があったのか明かされないまま物語は進んで行く。
ネルフによる人類補完計画の阻止を目的に葛城ミサトを始めとする元ネルフ職員で構成された「ヴィレ」という組織が新たに登場し人類の命運を掛けた戦いを繰り広げる。
 
独眼竜アスカさん大活躍の宇宙空間でのミッションから、怒涛の空中戦艦登場までの流れは、まるっきし別アニメ。
宇宙戦はトップをねらえ!で、艦隊戦はふしぎの海のナディアって感じ。
真面目な話、人類滅亡を図る組織に「神殺し」の異名を持つ浮遊戦艦「ヴンダー」(素体の骨はもしや第3使徒?)に乗って戦いを挑むとかアレンジしたBGMを含めて完全にナディアじゃんww。
 
クルーとして新キャラごろごろ登場したけど、まさか予告の娘がトウジの妹さんだったとはねぇ~。
(言われて見れば目元そっくり)
主題歌の桜流しと同じ「サクラ」って名前だけどこれも意味あんのかね?。
演じる沢城みゆき嬢はさすがの安定感で、他にもネモ船長こと大塚明夫さんや、大原さやかさん。
伊瀬茉莉也さん、勝杏里さん、といった新メンバーがこぞって参加。
 
一応歴代メンバーである、ミサトさんとリツコさん、オペレーターズの伊吹マヤ日向マコト青葉シゲルも登場するのですが、ビジュアルイメージがかなり変わっていて戸惑う。
特にマヤはなんかは性格が男勝りになっていてビックリした。
加持さんに関しては姿こそ見せないが会話の中に登場したんで生きてる模様。
ちなみに例の「青いバンダナ」はヴィレのクルーが身に付けるトレードマークみたいです。
 
『破』のクライマックスで
「世界がどうなったっていい、(中略)せめて綾波だけは絶対助ける!!」
と勢いで言ってしまった碇シンジの行動の結果が本作で彼自身に大きく圧し掛かります。
 
Mark.6によって最悪の状況は回避されたかに思えたのですが人類は滅亡の一歩手前まで追い込まれ、目覚めた碇シンジはまるで犯罪者の様な扱いを受け首に『バトルロワイヤル』的な首輪爆弾を付けられる始末。
役とシンクロした緒方恵美さんが「疎外感が半端なかった」と仰っていましたが1人の命と世界を天秤に掛けた訳ですから、それに巻き込まれた人々の怒りは当然と言えば当然。
 
故に今まではエヴァに乗って世界を救え!!」と言われて来たシンジがエヴァに乗ると世界が滅ぶから何もするな!!」と言われてしまう展開が実に新鮮。
これだけでも旧世紀版との大きな違いを感じます。
自分の存在意義を失ったシンジは拠り所として全てを犠牲に救ったレイが居るネルフ側に亡命。
ここで非情に徹していたミサトさんが首に仕掛けられた爆弾を作動出来なかったのは、やはりシンジの事を今でも大切に想っているからでしょうね。
 
そして人影もなく廃墟と化したネルフ本部で父のゲンドウと再会し今度は逆にエヴァに乗れ」と言われてしまいます。 
そんな八方塞がりでどうしようもないシンジの前に現れる優しき少年。
「第弐拾四話 最後のシ者」同様、傷付いた心に寄り添い希望を提示するカヲル。
1つの椅子に2人で座りピアノの連弾をするとか腐女子じゃなくても「キャー!!」と悲鳴を上げそうな交流シーンがしばらく続きシンジもやっと落ち着いたかと思った次の瞬間、自分が壊してしまった絶望的な世界の姿と、それと引き換えに救ったと思っていた少女が実は別人だったという事実にどん底へとつき落とされます。
更に冬月先生から母親の死の真相と、レイはそのクローンであるという情報まで知らされダウン寸前。
(ちなみにここで見せられた写真の手前の女性がアスカにそっくりなんだけど母親のキョウコさんかね?)
ホントこれ以上ないってくらいの精神的なシンジくん虐めが酷い!!。
誰か知らんが、なんであそこでトウジのシャツとか持って来たし…(汗)。
 
そこで再びカヲルくん。
傷付いたシンジにエヴァと槍を使い全部なかった事にしよう」と甘い誘い。
首輪爆弾を自分に付け替え「ボクだけはシンジくんの味方」的なアピールをするもんで、さすがに確信犯なんじゃないかと思えてくる(苦笑)。
 
そんな口車に乗りナンバリングが行き成り2ケタまで飛んだ複座型かつビット兵器装備のエヴァ13号機にカヲルくんとペアルックなプラグスーツで搭乗しメインシャフトを降下。
フォースインパクトを阻止すべく駆け付けたヴィレ所属のアスカとマリの妨害を受けながらも槍を解放してしまう。
 
骸骨が散乱した地獄の様な空間で繰り広げられるエヴァ同士の戦闘が実にシュールでしたが、あそこってあのセントラルドグマで間違いないんですかね?。
十字架に磔になっていた筈のリリス?に下半身が生えしかも四つん這いになっていたり、レイと酷似した首が別の場所に置いてあったりと14年の間に何があったんだ?。
 
シンジの「全部元通りにするんだ」という駄々を、アスカが「ガキシンジ!!」と一蹴するのは御尤もである。
ただ自分が世界を壊した咎を帳消しに出来るならと彼自身、藁にも縋る思いだったのでしょう。
緒方さんが先の東日本大震災の映像とシンジが壊した世界を重ね、14歳の少年には耐えられないと言っていたのですが本当にその通りだと思います。
だからシンジの反応って冷静に考えると至極当然なんですよね。
 
再びパンドラの箱を開けてしまい絶望するシンジ。
わざとやってるんじゃないかと思われたカヲルくんもこれは想定外だったらしく、いつも達観していた彼がシリーズ通して初めて「してやられる」格好になります。
 
そんなカヲルくんの正体も土壇場で明らかに。
旧世紀版とは違い「第1使徒であった彼にして「さすがはリリンの王」「シンジくんのお父上」(セリフ内容は曖昧だけどこんな感じだった)と言わしめるゲンドウって何者よ(汗)。
サングラスがキール・ローレンツみたいなバイザータイプになるし、ヴィレの動向も織り込み済みらしいし、ゼーレを抹殺したと思しき描写まで飛び出して、父さんは人類の規格を超えてるよ!!。
 
クライマックスは発動したフォースインパクトを如何にして止めるかという流れになり、またしても世界を盛大にぶっ壊すディザスター描写と共に歓喜の歌」が流れてテンションがMAXまで上がった事は言うまでもありません。
さすがにここで懐メロは流さないよね(笑)。
 
狼狽するシンジに優しい言葉を囁きながら逝くカヲルくん。
TVシリーズも大概だったけど見えない壁で仕切られたプラグ内で何も出来ないまま目の前で例の首輪爆弾?で吹き飛ぶとかシンジじゃなくても精神ぶっ壊れるよ(汗)。
このシーンは緒方さん曰く、アフレコ時はもっと色々見えていたらしい(うわぁ…)。
んで役とシンクロしていただけにこの後のセリフが言えなくなってしまい、庵野さんと話合った結果「そうなるよね」って事でこの後のセリフが全部カットになったそうな。
旧世紀版もそうでしたが、こういったライブ感はやっぱヱヴァならではですね。
 
覚醒し擬似シン化形態を超えた13号機に総力戦を仕掛けるヴンダーや、プラグスーツが黒くなった別レイ(台本上の仮表記)が乗るmark.09との戦闘でザ・ビーストの上位獣化モードを発動するアスカの2号機、そして土壇場でシンジを助ける「コネ眼鏡」呼ばわりされるマリの8号機などなど、終盤は怒涛の戦闘シーンの連続で圧倒されっぱなし。
 
冗談抜きに
「おいおいおいおいどーなんだよ!!!」
と思うくらいの超展開でいろいろ心配になっていたら、マリのファインプレーによりすんでの所でフォースインパクトが止まりシンジとアスカとレイが赤く染まった廃墟の街を歩きだして幕を閉じる。
 
『旧劇場版』のラストシーンを彷彿とされる舞台で今度は壊れたシンジを精神的には14年分お姉さんなアスカがぐいぐい引っ張っていく姿が印象的。
別レイの中でも何かが芽生え始めた様でTVシリーズからお馴染みの3人が晴れやかな空に向かって進んで行く光景に僅かな希望を抱く事が出来ました。
 
パンフレットのインタビューで主要メンバーが口をそろえて「『Q』は女性がたくましい!」と言ってましたが、確かに今回は女性が活躍している印象を強く受けました。
大佐になったミサトさんとか、14年も戦い続けて来たアスカとか、男どもをこき使ってるマヤとか、ゲンドウを「くん」呼ばわりするマリとかね。
懐メロとかギャグをちょいちょいぶっこんで来るマリってやっぱ年上なのかな?。
 
そして宇多田ヒカル嬢の新曲桜流しを経て新劇場版ラストを飾るファイナルインパクトの予告映像。
エヴァ8+2号機ってなんだよ!!」と思いつつ発表されたタイトルは
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:|┃』
新劇場版に際し変更されたヱヴァンゲリヲンという表記が旧世紀版と同じエヴァンゲリオンに戻されているのが意味深。
公式サイトでは「西暦2013年公開」と明言されているだけに詳細日程も発表されるかと思ったのですが流石に気が早かったか…。
ストーリー的には空白の14年間が宙に浮いたままなので、その部分を含めて確りとケリを付けて頂きたいものです。
 
取り敢えず今回の『Q』は精神が無茶苦茶削られます。
碇シンジの主観で描かれるというのもあるのですが、「アスカ生きてた!!」と上げて、エヴァに乗るな!!」で落として、「カヲルくんと友達になった」で上げて、「僕が世界をこんな風にしたんだ」で落として、「希望はあるよ」で上げて、「カヲルくんが目の前で吹き飛んだ」で叩き落とす。
 
『破』はシンジが今までにない形でレイを救った事と、自らの意思で最強の使徒を倒した事でカタルシスが得られたのですが今回は…。
いや別に悪くは無いんですよ。
悪くないんだけどこれを何度も観るの辛いんじゃないかな?。
 
とかいいつつ私は既に細かな部分を観直したくなってますがね(笑)。
いやホント、インタビューなんかの情報を踏まえた上で演技や見逃した箇所を補完したいです。
次観た時もまた色々書きますよ。
 
そう言えば『破』に付随した予告編の内容は完全に無かった事にされてたなぁ…(汗)