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『グリーン・ゾーン』(2010年) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: GREEN ZONE
製作: 2010年 フランス/アメリカ/スペイン/イギリス
時間: 114分
原作: ラジャフ・チャンドラセカラン
監督: ポール・グリーングラス   
脚本: ブライアン・ヘルゲランド 
音楽: ジョン・パウエル 
出演: マット・デイモン(米国陸軍上級准尉/MET隊隊長 ロイ・ミラー)
     グレッグ・キニア国防総省/情報局 クラーク・パウンドストーン)
     ブレンダン・グリーソン(CIA マーティン・ブラウン)
     エイミー・ライアン(ウォール・ストーリト・ジャーナル記者 ローリー・デイン)
     ハリド・アブダラ(フレディ)
     ジェイソン・アイザックス(米国陸軍少佐 ブリッグス)
     イガル・ノール(-)

あらすじ

イラク国内に存在すると言われる大量破壊兵器の捜索を行うロイ・ミラー(マット・デイモン)は上層部からの確かな情報を元に現地へ出動するのだが其処にあったのは今は使われていない埃まみれの廃工場だった。
作戦は幾度となく失敗に終わっておりミラーは情報源の開示を上官達に強く求めるのだが彼等は全く取り合おうとしない。
 
何かが可笑しいと感じ始めた矢先、同じ疑念を抱くCIAのブラウン(ブレンダン・グリーソン)から接触を受けたミラーは部隊を離れ独自の調査を開始する決意をする。
だがその動きはこの戦争の真実を知る国防総省の高官パウンドストーンの耳にも届いていた…。

予告映像

感想

言わずと知れた傑作アクション映画『ポーン・スプレマシー』『ボーン・アルティメイタム』のポール・グリーングラス監督とマット・デイモンが再びタッグを組んだ『グリーン・ゾーン』。
 
大量破壊兵器を探し続けるマット・デイモン演じる主人公のミラー。
だが上から下りてい来る「正確な情報」は穴だらけのずさんな物ばかり。
その事を上司に報告すれば「波風を立てるな」と言われ、上層部からは「お前たちの行動が遅い」と批判される。
事実を歪曲し戦争を始めた政府高官は安全で快適なグリーンゾーンの中から机上の空論だけでイラクの再建しようとする。
 
あまりに無能で楽観的なアメリカの役人と、ぼろぼろになった祖国を想うイラク国民。
この温度差はフィクションならば安易な構図と笑えもするが、この世界で実際に起こった事だから本当に恐ろしい。
 
そんな両者の狭間を行き来して真実に向かってひた走る主人公の視点を通して描かれるこの映画は、予告などで強調している「戦争アクション!!」といった物ではなく、もの凄く政治色が濃い「サスペンス映画」といった方がしっくりくる。
あのマイケル・ムーアがコメントを出すくらい痛烈な政権批判を行っており、アメリカ国内でヒットしなかった事も大いに頷ける。
 
美談とも言われている『ユナイテッド93』でアメリカ国民の勇気を描いたポール・グリーングラス監督が、今度はアメリカ政府の汚点をあぶり出したという点も実に興味深い。
 
この監督ならではの手持ちカメラを多用した臨場感溢れる映像や、俳優ではなくプロの軍人を起用した米兵の動きなどは見応え十分。
要所要所で銃撃戦やクライマックスには敵見方入り乱れるチェイスシーンも用意されているが、それらは味付け程度の控え目なものなので期待しない方が良いだろう。