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キャスリン・ビグロー監督作品 『ハート・ロッカー』 -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: THE HURT LOCKER
製作: 2008年 アメリ
時間: 131分
監督: キャスリン・ビグロー 
脚本: マーク・ボール
音楽: マルコ・ベルトラミ 、バック・サンダース  
出演: ジェレミー・レナー(ウィリアム・ジェームズ二等軍曹)
    アンソニー・マッキー(J・T・サンボーン軍曹)
    ブライアン・ジェラティ(オーウェン・エルドリッジ技術兵)
    レイフ・ファインズ(請負チームリーダー)
    ガイ・ピアース(マット・トンプソン軍曹)
    デヴィッド・モース(リード大佐)
    エヴァンジェリン・リリー(コニー・ジェームズ)
    クリスチャン・カマルゴ(ケンブリッジ大佐)

あらすじ

2004年 夏。
イラク バクダッド郊外-
 
爆発物処理を主な任務とするアメリカ陸軍のブラボー中隊に戦死した前任者に代わる新たな班長ウィリアム・ジェームズ二等軍曹が配属される。
彼は今までに800発以上の爆弾を解除した凄腕の持ち主なのだが、作業上のルールや同じ班であるサンボーンとエルドリッチの指示を尽く無視しチームワークを乱してしまう。
任務遂行上不可欠とも言える隊員同志の信頼関係が築けぬままブラボー中隊の本格的な活動が始まる。
 
彼等の任務明けまで残り37日…。

予告映像

感想

キャスリン・ビグロー監督が『K-19』以来7年振りにメガホンを取った本作。
第82回アカデミー賞で元夫のジェームズ・キャメロン監督作『アバター』を降し「作品賞」「監督賞」「オリジナル脚本賞」「編集賞」「音響編集賞」「音響調整賞」の6部門を制した事も話題になりました。
 
イラク戦争を題材にした映画と聞けば政治的なメッセージが強いと思われがちだが、本作では余りそういった部分は目に付きません。
むしろ反目しあう男達に芽生える友情ドラマや、超高感度スローカメラによる鮮烈な爆破シーンや長距離でのスナイピング対決など映画的な要素の方が強いのではないだろうか?。
 
無論、主人公達がイラクに駐屯しているのは自国が始めた戦争の所為なのですが、その事を肯定も否定もせず只管「爆弾処理班」という仕事にスポットを当て描いていきます。
戦争の是非を描かない事を一部で批判する声もありますが、改めて問わずとも大多数の人間は共通認識としてその答えが既に出ているのでしょう。
 
一般の兵士に比べ圧倒的に死亡率が高い「爆弾処理班」として戦地で活動する主人公。
防爆スーツすら脱ぎ捨てて爆弾を解除する姿は一見ヒロイックですが、それは日常では味わえないスリルを体感出来る戦争という麻薬に侵され正常な判断が出来なくなってしまっただけなのではないか?。
クライマックスで彼は国に家族を残し再びキルゾーンに足を踏み入れて行きます。
その姿を「カッコイイ!!」と思ってしまえばそれまでですが、私はその直前に描写された白昼夢の様な日常との対比が全てを物語っている様に感じた。
 
「戦争は麻薬である」
 
まさにそう思わせる映画でした。