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『イヴの時間 劇場版』 ★★★☆☆

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スタッフ&キャスト

製作 2009年 日本
時間 106分
原作 吉浦康裕
監督 吉浦康裕
脚本 吉浦康裕
音楽 岡田徹
声の出演
    福山潤リクオ
    野島健児(マサキ)
    田中理恵(サミィ)
    佐藤利奈(ナギ)
    ゆかな(アキコ)
    中尾みち雄(コージ)
    伊藤美紀(リナ)
    清川元夢(シメイ)
    沢城みゆき(チエ)
    杉田智和(セトロ)

あらすじ

人々の生活にロボットが欠かせない物となった近未来の日本。
其処はロボットに依存し切った社会に意義を唱える「倫理委員会」の存在や、アンドロイドを人間視してしまう「ドリ系」と呼ばれる若者達の増加など様々な問題を抱えていた。

主人公の少年・リクオはある日、我が家で働くアンドロイド・サミィの行動記録の中に「Are you enjoying the time of EVE ?」と書かれた可笑しな箇所を発見する。
気になったリクオは友人のマサキを連れそのポイントに向かうのだが、其処で2人を待ち受けていたのは「人とロボットを区別しない」というルールを掲げた『イヴの時間』と呼ばれる不思議な喫茶店だった…。

予告映像


感想

個人製作アニメーション『水のコトバ』『ペイル・コクーン』で注目を集めた吉浦康裕さん率いる「スタジオ六花」によって制作された短編作品『イヴの時間』。
本作は既にネット配信やDVDリリースもされており「第9回東京アニメアワード」においては「優秀賞OVA部門」を受賞する等話題を呼んでいる。
そしてこの度、根強い人気に後押しされ『イヴの時間』の「ファースシーズン」に当たる6話分のエピソードに新作カットを加え『劇場版』として公開されました。

本作の見所は何と言っても喫茶店イヴの時間」で交差する人間とロボットの交流にあります。
ロボットを人間扱いする者が「ドリ系」と呼ばれ揶揄される時代。
そんな中にあって「人とロボットを区別しない」と言うルールを厳守する「イヴの時間」で紡がれる人間模様…。
人とロボットの垣根を越え互いを知りたいと思う気持ち。
彼等は時にすれ違い傷つき合いながらも理解を深めて行きます…。

物語の大部分は「イヴの時間」の店内で進んで行くのですが、この限定された空間を最大限利用した演出や、寄りと引き・回り込み等を多用したカメラワークで最後まで窮屈さや圧迫感を感じさせる事はありません。
むしろ奥行きや空間の広がりを感じ取る事が出来ます。

近未来を舞台にしたSF作品ではありますがテーマはとても普遍的な物。
人とロボットの境界が曖昧になっているという点は押井監督の『GHOST IN THE SHELL』と通ずる所がありますが、敷居は低く専門知識などなくても十分に楽しめます。

ただ『劇場版』は新作カットがあると言え総集編という色合いが強いので、初見の方と既にストーリーを知っている方では若干評価が変わるかもしれません。
その辺りの点を踏まえ評価は抑えましたが、限定された空間で展開するドラマ作品として非常に良く出来ているので一見の価値あり。

現時点で発表はありませんが是非とも、セカンドシーズン~サードシーズンと続いて行って欲しいと思います。