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『東のエデン 劇場版 I The King of Eden』 ★★★★☆ (ネタバレ含む)

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製作 2009年 日本
時間 82分 
監督 神山健治 
原作 神山健治 
脚本 神山健治 
音楽 川井憲次 
声の出演
    木村良平(滝沢朗)
    早見沙織(森美咲)
    江口拓也(大杉智)
    川原元幸(平澤一臣)
    齋藤彩夏(みっちょん)
    斉藤貴美子(おネエ)
    田谷隼(春日晴男)
    松谷彼哉(朝子)
    岩尾万太郎(良介)
    小川真司(火浦元)
    五十嵐麗(白鳥・D・黒羽)
    宮内敦士(物部大樹)
    檜山修之(板津豊)
    森田成一(結城亮)
    遊佐浩二(辻仁太郎)

あらすじ

60発のミサイル事件はこの国に漂っていた空気を一変させる。
日本経済は元より世界経済にまで悪影響を及ぼし、諸外国からは「自殺を試みた国家」と揶揄され国際的信用は失墜した。
しかしバブルを知らない若い世代はそれすらも新鮮な出来事と捉え、ミサイル攻撃を防いだ二万人の二―トの行動を称え、事件直後に姿を消し黒幕説が囁かれる滝沢朗も「AIR KING」の名で若者達のシンボルとなる。

それから半年の時が経ち、起業した「東のエデン」に務める社会人となった森美咲は滝沢が残したノブレス携帯に表示された新たな履歴と事件直後に送られて来た音声メッセージを頼りに単身アメリカのNYへ向けて旅立つ…。

予告映像


感想

TVシリーズの続編となる[ 東のエデン]劇場版二部作の第一弾がこの東のエデン 劇場版 I The King of Eden」

60発のミサイル事件を防ぎ「王様申請」が受理され直後に失踪した滝沢と、記憶を消した彼を人々から守ろうと奔走する咲を軸に、滝沢救出の為に行動するお馴染のエデンメンバー、そして滝沢の新たな履歴に呼応し本格的に活動を開始した各セレソンの姿が描かれます。

本作もTVシリーズ同様に真面目なシーンとお笑いシーンのメリハリの付け方が非常に秀逸で、社会問題や政治要素などを取り入れたやや難解なストーリーもテンポよく進んでいきます。

全体的な趣向としては「『東のエデン』NYロケ」と言った感じで、英語もろくに話せない滝沢がアメリカ生活をエンジョイしているのは流石です(笑)。
咲も相変わらず危なっかしいのですが今回は髪をアップにして可愛いと言うより美人といった印象が強く、ワンピース姿も露出が多い肩周りがセクシーで非常に良かった!!(爆)。
NO.06の策略で銃を掴まされ、おろおろしながらNYの街を逃げ回る姿なんかには萌えてしまいましたよ。

何気にこの映画、影の主役は[ジュイス]…と言うかジュイスを演じる[玉川紗己子]さんの七変化だったと思います。
初登場となる映画監督志望のNO.06直元のやさぐれジュイスやNO.02辻のギャル風ジュイスから、NO.11 白鳥のおっとりジュイスやNO.09滝沢の快活ジュイスまで演じ分けがとにかく素晴らしい!!。
特に直元&辻のジュイスとの会話はどちらも場内大爆笑で私も大いに笑わせて頂きました。

NO.09の復活と共にゲームを終わらせるべく本格的に行動を開始する各セレソン
その動きを「(株)東のエデンのメンバーが逐一モニタリングし滝沢救出に向け秘密裏に活動しているのがTV版と最も違う点だったと思います。
中でも引き籠っていた板津が外に出て独自にセレソンの素性を探っていたのがとても印象的。

その板津が調べた各セレソンの危険度をエデンのメンバーに説明する場面で、滝沢に対して無害だった為に触れませんでしたがN0.03とN0.08のセレソンの素性も表示されていました。
[NO.03 北林とし子]はパンフレットに詳細が載っており「コツコツ一日一善おばあちゃん。ささやかな日本救済を日課にしているらしい。」との事。
[NO.08 立原憲男]の方はパンフレットに情報が載っていなかったのですが、画面の説明文には辛うじて「元サッカー選手」と書かれている様に見えました。
どういったやり方で日本を救済しているかは不明ですが少なくとも他のセレソン接触、ないしは妨害するといった行動は取っていない様です。

そして一番驚いたのが100億を使い切った筈の[NO.05火浦]さんが生きていた事!!。
サポーターがセレソンの生き死にに関わらないのであれば[NO.04近藤]の件も本人の送信ミスが原因と考えるのが妥当かも?。


そしてここからが本作で大きな動きを見せるセレソン達。

[NO.02辻仁太郎]は二万人のニートと滝沢朗をプロデュースし「被害者意識」を若者達に植え付け、帰国したAIR KING(滝沢朗)」を外国人の手によって殺させる事で国自体を被害者に仕立て上げようと目論む。
「被害者最強っしょ?」発言が彼の見い出したゲームの上がり方の様ですが、ジュイスとの会話は完全にバカップルでした(笑)。

初登場の[NO.06直元大志]は滝沢を主役に映画を撮影する為ミサイル事件直後から関わりの深い咲をストーキングしていた様で、度々ジュイス「映画的演出」を要求するも余りにも馬鹿らしい申請にジュイスはすっかりやさぐれてしまった様…。
吉野裕行くんの声も相まってこのキャラ完全に三下ギャグ要員になった気がするのは私だけか?。
それにしてもジュイスをあそこまで劣化させるとは彼ただ者じゃないよ(爆)。

[NO.11白鳥・ダイアナ・黒羽]「ジョニー狩り」を止め、ある人物の要請で事件後の滝沢朗を見守り続けていた。
滝沢を捜しにNYまでやって来た咲の事まで気遣う辺り正に守護天使!!。
ジョニー刈り取っちゃう怖いお姉さんは何処へやら?、包容力のある素敵なお姉さんに大変身です!!。

[N0.10結城亮]はミサイル事件の後、執拗に滝沢朗の暗殺申請を出すも全てジュイスによって却下され姿を消します。
「滝沢朗を撲殺」「滝沢朗を絞殺」「滝沢朗を射殺」等々。
完全に怒りの矛先が滝沢に向いてしまいました(汗)。
一時はサポーターによって消されたと思われたが実は自らノブレス携帯を破壊しゲームの外から滝沢を狙い続けていた様子。
辻曰く現在の結城はすごく「臭い」らしい(笑)。

そして[NO.01物部大樹]はその洞察力と行動力からノブレス携帯を用いる事無く政府内に太いパイプを構築し相続税100%法案」を可決させる。
更にゲームを終わられるべく障害となる東のエデンに公安の内偵を差し向け、NO.02・NO.09・NO.12のジュイスを輸送し続けるトレーラーに対しミサイル攻撃を敢行。
白鳥の命令によってNO.11のジュイスがNO.09の身代わりになる物の他のジュイスは破壊されてしまう。
相変わらず物部さんは基本ポテンシャルが高過ぎる!!。
ぎゃふん総理とも繋がってるとかどんだけ?。
この人なら多分ノブレス携帯無くたって日本変えられるよ(笑)。

こうなると正体不明のセレソン[NO.07]「Mr.OUTSIDE」の可能性が最も高い[NO.12]だけとなりました。
しかしNO.12のジュイスは物部のミサイル攻撃で破壊されてしまいセレソンの正体も解らぬまま実質的にゲームを脱落してしまいました。
思い違いかも知れませんが個人的にはOPで映るキーボード?付きの新型ノブレス携帯を誰が所持しているかが非常に気になっています。

滝沢朗を中心にセレソンが本格的に活動を始める中、当の本人は記憶を失ったまま総理大臣の息子として帰国する事になってしまいます。
平澤が言う様に、あのジュイス「王様」=「総理大臣」なんて安直な解釈はしないと思いますが、最終回で咲が言った「彼はこうして王子になった。王様のいないこの国で」というセリフに現在の滝沢の状況は符合します。
つまり「彼はこうして王子(改ざんされた戸籍によって総理大臣の息子)になった。王様がいない(父である飯沼総理が死んでしまった)この国で」という解釈が成り立つからです。
それでも滝沢が総理大臣って、やっぱイメージ出来ないんですよね~(笑)。


東のエデンファンとしてはこの劇場版、純粋に楽しめましたしキーワードを読み解く事で色々と考察も出来て大満足です!!。
ただあくまでTVシリーズと次の劇場版ありきで面白い作品なので単体の映画としての評価は出来ません。
TV版観てない一見さんには多分この感想含めて何が何だか解らないと思うので、もし興味を持って観に行く様であれば予習復習をお忘れなき様…。