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『フェイク・シティ -ある男のルール-』 ★★★☆☆

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原題 STREET KINGS
製作 2008年 アメリ
時間 109分
監督 デヴィッド・エアー
脚本 ジェームズ・エルロイ 、カート・ウィマー 、ジェイミー・モス
音楽 グレーム・レヴェル
出演 キアヌ・リーヴス(トム・ラドロー)
  フォレスト・ウィッテカー(ジャック・ワンダー)
  ヒュー・ローリー(ジェームズ・ビッグス)
  クリス・エヴァンス(ポール・ディスカント)
  コモン(コーツ)
  ザ・ゲーム(グリル)
  マルタ・イガレータ(グレイス・ガルシア)
   ナオミ・ハリス(リンダ・ワシントン)
  ジェイ・モーア(マイク・クレイディ)
  ジョン・コーベット(ダンテ・デミル)
  アマウリー・ノラスコ(コズモ・サントス)
  テリー・クルーズ(テレンス・ワシントン)
  セドリック・ジ・エンターテイナー(スクリブル)

あらすじ

ロサンゼルス市警に勤めるトム・ラドローは、過去にある事件で妻を失っていた。
その事実から逃れる様に、違法捜査にすら手を染め日々犯罪者を取り締まる。
時には証拠を捏造し犯罪者に手を下す事までしていた…。

そんなある日、元相棒の刑事ワシントンがラドローの目の前で強盗に射殺されてしまう。
早速、捜査が始まるのだが殺されたワシントンが警察内部の不正を内部調査官に報告していた事実が浮かび上がり、違法捜査を行うラドローに「口封じで殺したのでは?」と疑いが掛かってしまう。
身に覚えの無いラドローは相棒を殺した真犯人を追うべく単身捜査を始めるのだが、其処には思いがけない真実と裏切りが彼を待ち受けていた…。

感想

キアヌにしては珍しい野蛮で泥臭く血の気の多い役で少し新鮮でした。

彼が今作で演じた主人公ラドローは悪党を次々と殴り・撃ち・殺す。
社会道徳?規律?んなもん何の役にもたたないと言わんばかりに、朝からウォッカを飲んで飲酒運転。
韓国人ギャングに「コンニチワ」と挨拶し、普段着には「東京」とプリントされたシャツを愛用する。
乱暴でキレやすく十代のガキをそのまま大人にした上「毒を持って毒を征す」を自で行っている、はみ出し(過ぎな)刑事。

同じくキアヌが主人公を演じ、タバコと酒のやり過ぎで癌になった『コンスタンティン』より周りを巻き込む分相当たちが悪い。
突っ走り周りに迷惑を掛けた挙句、内部調査官に目を付けられたら上司に助けを請う。
こんな刑事は素直にイヤだと思った(と言うか情けない)。

良く言えば「人間臭い」が、悪く言えば「ただの悪ガキ」。
そんな彼が友情と裏切りと復讐の果て最後に成長したかと言えば…正直変わっていない様に思う。
勿論、自分の立ち位置や人間関係、考え方には多少変化があったラストシーンではあるが、結局は元の鞘に戻っただけに見えてしまう。

たが、その振り出しに戻ったラストこそが、この映画のミソなのだとも思う。
こういったストーリーだと普通主人公は「死ぬか」「退職して彼女と隠居するか」「殺る気満々で現場に戻るか」だが、ラドローの存在=「必要悪」が認められるラストシーンで彼はその結果に満足した表情ではなく険しい表情のままだった。

私はこのシーンに「こんな男でも居なければ成立しないこの社会(警察)は如何な物か?」そんな皮肉がこもっていた様に感じたのだが……考え過ぎかな?。


それにしてもこの映画、やっぱり原題の『ストリート・キングス』の方が合ってるわ~。
『フェイク・シティ』って字面や耳障りだけで映画会社が選んだ様に思う。
この内容からよく『フェイク・シティ』ってタイトルが出てきたな~と素直に関心します(笑)。