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『硫黄島からの手紙』 ★★★★☆

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スタッフ&キャスト

製作 2006年 アメリカ映画
時間 141分
監督 クリント・イーストウッド
脚本 アイリス・ヤマシタ
音楽 カイル・イーストウッド 、マイケル・スティーヴンス[音楽]
出演 渡辺謙二宮和也伊原剛志加瀬亮松崎悠希中村獅童裕木奈江

あらすじ

本土防衛最後の砦たる硫黄島に1人の男が着任する、男の名は栗林忠道
アメリカ留学の経験から敵の戦力を熟知した栗林は、古い戦法にこだわる部下達を一蹴し、
地下要塞を構築し敵を迎え撃つ理に適ったな戦法を実行する…。

感想

確かにアメリカ人監督が撮った日本映画だった。
この映画ストーリーは殆どがフィクションだ、現存する資料やこの戦闘での日本側の生存者の少なさからすると仕方の無い事だろう。
登場人物も栗林忠道バロン西などの一部の登場人物以外は架空の人物、そんな中で二宮くん演じる西郷は「お国の為に戦争なんて嫌だ」「家族と幸せに暮らしたい」「アメリカに降伏してしまえばいい」「自決なんてしたくない」そんな今では当たり前に思う事を代弁してくれる。

役者陣は二宮くんの演技が好評だが、自分はやっぱり栗林忠道役の渡辺謙さんが良かった。
二宮くんは架空の人物なので自然に演じられるのに対して、謙さんは実在の人物なのだからその人物の人となりに合わせる演技、その質は違うはずた。

自分は恥ずかしながら硫黄島での戦闘の事を知らなかった、栗林忠道と言う人物や、初の日本領での戦闘だと言う事、アメリカ軍相手に40日以上戦い抜いた事などだ、
ガダルカナル沖縄戦ほど日本国内で知られていない戦闘、それをアメリカ映画で教えられる事を日本人として恥ずかしくなった。
この映画を監督したクリント・イーストウッドはどうしてこんなにも日本を描く事が出来たのだろう?、仮に日本人監督が同じ境遇でアメリカ側の映画をはたして撮れるだろうか?。
最近は日本映画でも戦後60年と言う事もあり戦争を題材にしたドラマや映画が多く作られた、
だがどの作品も戦争を美化こそしてはいないが、人が死ぬと言う行為を美化している様に見える。
そんな日本映画に比べこの作品で描かれる"死"や"玉砕"と言われる行為はあまりに惨めだ、国や天皇の為に若者は戦地に駆り出され、無謀な作戦で死に、上官の命令で自決する。
今の時代の人が見れば"玉砕"と言う行為は狂信者の集団自殺に見えなくも無い、だがあの時代では「生き残る事は恥、潔く散る事こそが良し」とされていたのだ。
この映画を観ると怒りを覚える、それは相手国のアメリカにではなく、この様な愚かな行為を良しとしていたあの時代の日本と言う国に…。