MXが謎の理由で『天狼 Sirius the Jaeger』の最終回を延期しやがった所為で新番組と混ざっててんやわんやな改変期。
他局がどうだったか知らんがエフグラフの切られた足の断面と右目に腕を突っ込まれるシーンと首が飛ぶところにNG出して黒塗り修正させたってことでOK?。
チェックしていたのは『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』『すのはら荘の管理人さん』『はるかなレシーブ』『ヤマノススメ サードシーズン』『ガンダム ビルドダイバーズ』『アイドルマスター シンデレラガールズ劇場』『シュタインズ・ゲート ゼロ』『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』『ハイスコアガール』『ゆらぎ荘の幽奈さん』『はたらく細胞』『ペルソナ5』『プラネット・ウィズ」』『はねバド!』『天狼 Sirius the Jaeger』の計15本だけど、『ハイスコアガール』と『P5』は最終回持ち越しパターンなので終わったとは言い難かったりする。
原作付きのスポーツ物としては『はるかなレシーブ』と『はねバド!』があったんだけど、前者が最後まで肉感的なフェティシズム溢れる作画で拘りを見せたのに対し、後者は序盤の勢いが持続せず作画などのクオリティが一気にダウンしてしまったのが残念でならない。
原作から絵柄や展開を大きく改変したことに対し思い入れの強い人ほど文句を言いたくなるだろうが、個人的にアニメーションとしての動きや1クールという尺の中でドラマを完結される為であればそういったアプローチは間違ったことではないと思う。
もっとも、この『はねバド!』がそれで成功していたかと言われればそんな事は全くなくて、いろいろ削った割に男子の試合や日常回に妙に時間を割いていたのはハッキリ言って謎。
試合シーンの迫力を出す為かに思われたキャラデザ変更も結局崩壊していたし、であれば原作通りの美少女絵で良かったのではないだろうか?。
アニメ化する原作が枯渇した所為か今期は1クールのオリジナルタイトルが充実。
厳密に言えばキリンの正体など、いろいろと説明不足な部分があるんだけど、この手の作品は「様式美」を楽しむものなので、そういう突っ込み自体野暮ってもの。
今まで『少女革命ウテナ』の系譜ってあるようで無かったので、それが出てきてくれただけで嬉しいし、今後もプロジェクトは続くようなのでアニメ第2期にも期待したい。
ロボットアニメとしては有機的なデザイン含め変化球だったけど『プラネット・ウィズ』は1クールというフォーマットを余すところなく使い切った近年稀にみる傑作で、サクサク展開なのに情報密度が高く長編を観たような充実感がありました。
三部構成にも拘わらずダイジェストにならず、登場人物のバックボーンもきちんと描かれ主人公の成長物語として見てもパーフェクト。
過去の名作をオマージュしつつ、決してそれだけでは終わらない+αの要素など、ガイナックスのコピーに終始した某作品もこの姿勢を少しは見習っていただきたいものだ。
そして珍しくオーバーアクトを封印したカッコイイ若本規夫さんの閣下(見た目は犬の着ぐるみ)などなど、聴きどころ多し!。
憎しみから赦し、そして愛へと至る人間賛歌。
田中公平大先生のアガるBGMや熱血上等な戦闘(ケンカ)シーン。
魅力的なキャラクターたちによる群像劇と心に沁み入る感動の数々。
2クールやってもグダグダでしょーもない作品が多い中「1クールでもこれだけの事ができる!!」という指針を見せた意欲作。
何より無駄なキャラが1人もおらず、敵ですら愛をもって描かれていたのが良かった。
1クールオリジナルタイトルのラストを飾った『天狼 Sirius the Jaeger』ですが、ワクワクが止まらなかった第1話の完成度はどこへやら、中盤の失速と中弛み。
何より狩人や吸血鬼などあれだけ個性的なキャラクターを用意しておきながら、その殆どがモブに毛が生えた程度の活躍で終わらせた事に私はガッカリさせられました。
吸血鬼との戦いが主軸かと思えば謎の奇病が蔓延して勝手に疲弊していくし、敵味方に分かれたユーリィとミハイルも早々に和解してしまい、そっからは女性視聴者へのアピール過多な兄弟愛のゴリ押しで興覚め。
(それ自体は悪くないのだが1クールしかないんだから他に描くべき部分があるだろうに…)
ラスボスのエフグラフの小物感や、大風呂敷を広げた割にスケールが小さく尻切れとんぼな結末など、これならまだ同監督の『CANAAN』の方がドラマ的にもアクション的にも盛り上がったように思う。
「2クールあれば」という言い訳も前記2作品の完成度を見れば的外れであることは明らかで、デザインや設定が良かっただけに本当にもったいない作品でした。