スタッフ&キャスト
原題: Nightcrawler
時間: 118分
製作: 2014年 アメリカ
監督: ダン・ギルロイ
音楽: ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演: ジェイク・ギレンホール(ルイス(ルー)・ブルーム)
レネ・ルッソ(ニーナ・ロミナ)
リズ・アーメッド(リック)
ビル・パクストン(ジョー・ロダー)
あらすじ
まともな仕事にありつけず軽犯罪で日銭を稼ぐ男ルイスはある日偶然、事故現場で報道スクープ専門の映像パパラッチの存在を知り、自分もやってみようと思い立つ。
早速ビデオカメラを手に入れたルイスは、警察無線を傍受して事件や事故の現場に猛スピードで駆けつけ、悲惨な映像を次々と撮影していく。
過激な映像で高額な報酬を得るようになったルイスは、さらなるスクープ映像を求めて行動をエスカレートさせていき、ついに一線を越えてしまう…。
予告映像
感想
「他人の〈破滅〉の瞬間に、カメラを持って現れる」とは実に見事なキャッチコピーである。
盗品を売り捌き、その日暮らしの生活を送るルイスはある夜偶然、事故現場に遭遇し、誰よりも早く現場に駆け付けスクープ映像を物にしテレビ局に高値で売り付けるフリーカメラマンの存在を知る。
その仕事っぷりに感化されたルイスは、機材を買い込み警察無線を傍受し見よう見真似でカメラを回し始め、人の不幸をネタに業界でのし上がっていく。
評判通り体重を落とし役作りに挑んだジェイク・ジレンホール演じるルイス・ブルームの存在感が全編通して際立っており、その不気味さはどこか『ノーカントリー(・フォー・オールドメン)』のアントン・シガーを彷彿とさせる。
見た目に関してはアレよかだいぶマシなのだが、丁寧な言葉の端々から滲み出る狂気、そして何より"ぎょろり"としたあの目が本当にヤバい!!。
こうと決めたら徹底的に拘るタイプというのが透けて見える言動の数々。
ある種のセンスめいた物を持ち合わせ、同業者の技や知識を盗みながらメキメキと頭角を現していくのだが、完璧主義者であり野心家な彼は更なるスクープを求め一線を越えていく…。
倫理観が欠落したルイスの壊れっぷりも凄まじいものがあるのだが、私はそれ以上に彼の行為を咎める事なく助長し視聴率を稼ぐ為に見て見ぬ振りを続けるTV局側の姿勢に恐ろしさを感じた。
現実問題としてこんな事が赦されているのかは定かではないが、劇中まともな意見を述べるのが警察のおばちゃんだけというのは背筋がゾッとする。
「司法制度なんてクソ食らえ!」なラストはフィクションであれ正義を求める人は到底受け入れる事ができないだろうが、独り舞台で観客をグイグイ惹き付けるジェイク・ジレンホールの鬼気迫る演技は評判通り一見の価値あり。
寡黙だが善良な警官を演じた『プリズナーズ』の翌年にコレとは、いやはや凄い役者さんである。