スタッフ&キャスト
原題: Sicario時間: 121分製作: 2015年 アメリカ監督: ドゥニ・ビルヌーブ脚本: テイラー・シェリダン音楽: ヨハン・ヨハンソン出演: エミリー・ブラント(ケイト・メイサー)ベニチオ・デル・トロ(アレハンドロ)ジョシュ・ブローリン(マット・グレイバー)ビクター・ガーバー(デイブ・ジェニングス)ジョン・バーン(サルテッド)ダニエル・カルー(ヤレジー・ウェイン)ジェフリー・ドノバン(スティーブ・フォーシング)
感想
本作を端的に言い表せば、メキシコの麻薬カルテルを潰す為に招集されたエミリー・ブラント演じるFBI捜査官が国境の向こう側の壮絶な日常と任務の裏に隠された真実を知り自信やプライドをバッキバッキにへし折られる、そんなお話。
『ノーカントリー』+『サボタージュ』+『ゼロ・ダーク・サーティ』といった感じの作風で冒頭からヒリヒリするような緊張感が持続し、警察車両が隊列を組み武装した兵士と共にメキシコの刑務所から容疑者を護送するシークエンスはさながらドンパチ抜きの『ブラックホークダウン』。
それなりに経験を積んだFBI捜査官が現地では素人扱いな上、凄惨な光景にカルチャーショックを受け塞ぎ込むなど、こんな無法地帯が国境越しとは言え隣り合っていたら「壁を作る!」という政策を支持したくもなりますわ(汗)。
実力派キャストによる演技の応酬や監督のビジュアルセンスが光る映像など映画としての質はもの凄く高いのだが、利権が絡んだ真相はお約束すぎて聊か拍子抜け。
「Sicario(殺し屋)」という原題を体現する終盤の展開もリアリティを重視した結果カタルシスとは無縁で、娯楽性を削ぎ落し「これが現実だ!!」と突き放す幕引きを含め苦い後味が残る玄人向けな作品でした。