全盛期を知る人間としてはもどかしさが大きい伊藤明弘さんのリハビリ短編集『ABLE』最終巻。
当初は一丁のリボルバーが様々な人物の手を渡り歩くオムニバスだったのですが、未完のままの『ワイルダネス』と同じサンデーGX掲載という事もあってかディエゴに続いて芹間まで主要人物として登場し最終的には同作の外伝みたくなりました。
果たしてこれが本編に繋がる正史なのか、はたまた『LAWMAN』と『ジオブリーダーズ』の入江省三のような扱いなのか…。
ファンであればあるほど「病気を患う前なら間違いなくもっと凝った構図にしただろう」とか「このアクションはよりスムーズに描いたに違いない」など、恐らく伊藤さん自身が一番感じてあるであろう「そうならない事へのフラストレーション」が募りに募ってどうにかなってしまいそう。
外連味溢れる銃撃戦や台詞に織り交ぜた映画ネタなど氏の特色は随所に感じるのですが、あの頃の筆致を取り戻すまで果たして何年掛かる事か…。
間髪入れず新連載も始まるそうですが、いっその事、伊藤さんがネームを描いて作画は別の人に頼んでやってもいいのでは?…なんてことも考えてしまいます。
少なくとも『ジオブリ』は旧神楽がリセットされて、新神楽が立ち上げられるところまで進んでますし『AA』みたいな方法論でやるのもありではないかと…。