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『バケモノの子』(2015年) -★★★☆☆-

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ジブリが長編を作らなくなった今、その動向に注目が集まる細田守監督最新作『バケモノの子』が順当に金ローで放送されたのでチェックする。

前作『おおかみこどもの雨と雪』は個人的に共感できる部分がなく、『時かけ』からこっちタッグを組んできた貞本義行さんと奥寺佐渡子さんがチームを離脱した事もあって、正直あまり期待していなかったのですが普通に楽しむ事ができました。

孤独な人間の子供と孤独なまま大人になったバケモノの間に生まれる絆を少年&少女マンガの要素を交えながら描く構成はなかなかしたたかで、修業~武闘大会の流れは完全に『ドラゴンボール』だし、中盤のロマンス展開では「壁ドン」まで飛び出して思わず笑ってしまいました。

「白鯨」の伏線が生きてくるクライマックスは意外なスペクタクルシーンが用意されるなど手堅く纏めている印象を受ける一方、『るろうに剣心』な決着はかなぁ~り呆気なくハッキリ言って拍子抜け。
バケモノの世界での熊徹と猪王山の戦いから、現実世界での九太と一郎彦の戦いに繋げる流れは『サマーウォーズ』と同じ二段構え構成なのですが、終始盛り上がりに欠けカタルシスも同作に遠く及ばないというのは如何なものか?。

加えて演出面でも差別化を図っているアニメ然とした「バケモノの世界」と写実的な「人間の世界」の描写もギャップがあり過ぎて、私は最後まで同一世界の話として観る事が出来ませんでした。
この辺り自然に異世界へと誘うジブリ作品とは雲泥の差で、もう少し「似ているようでどこか違う」程度に止めて欲しかったというのが率直な感想です。

ちなみに毎度話題になるタレントキャスティングですが、役所さんと染谷くんの演技が思いのほか好印象で、むしろ18番の闇落ち美少年を演じた宮野真守くんの既視感がありすぎる演技の方が私的には浮いて聞こえました(苦笑)。