あらすじ
予告映像
感想
劇場作品としては2013年公開の『言の葉の庭』以来となる新海誠監督最新作にして、これまでの少数制作・小規模上映スタイルから一転、東宝の肝いりで夏の目玉アニメ映画として大々的に公開され、批評家・観客双方から絶大な支持を受け早くも興行収入10億円を越える大ヒットを記録している『君の名は。』を鑑賞。
人気バンド・RADWIMPSが自身初となる映画音楽を手掛けた事や、メインキャストに神木隆之介くんや注目の若手女優・上白石萌音ちゃんを起用するなど、話題性抜群の布陣によって「新海誠純度100%」の美しい物語が紡がれていきます。
1000年ぶりに地球と彗星が大接近する世紀の天体ショーが迫った、ある日。
夢の中で瀧になった三葉は憧れの東京暮らしをエンジョイするのだが、目覚めてから自分のノートに残された「お前は誰だ?」という書き込みや、友人たちの反応から自分とその少年が入れ替わっていた事に気付く…。
新海作品らしいモノローグとその情景美に圧倒される導入部から、TVアニメのようなオープニングパートを経て描かれる2人のコミカルな出会いは神木&上白石両名の熱演も相まってテンポ良く楽しませてくれる。
特に神木くんの女の子演技が思いのほかハマっており、メガネの友人の言葉にも同意せざるを得ない(笑)。
これは嬉しいファンサービスである。
そして、思い掛けない「事実」によって引き裂かれ失意の底に沈む2人。
私はあらすじを読んだ段階で察しがついていましたが、この手の作品に慣れていない人は驚かされるに違いない。
終盤は映画然としたスペクタクルや再会に向けた盛り上がりもしっかりと用意され、ややご都合主義な展開が目につくものの、入れ替わりを最大限に生かした巧みな演出や冒頭から張り巡らされた伏線の回収は見事という他ありません。
ファン目線で見ると所々既視感があったりもするのですが、それは本作がこれまで培ってきたモノの集大成となっているからで、『ほしのこえ』の「時間」、『雲の向こう約束の場所』の「約束」、『星を追う子ども』の「異界」といった要素を「結び」、『秒速5センチメートル』と『言の葉の庭』で描か(け)なかった「答え」に辿り着く結末は長年新海作品を追い続けてきた者として感慨深いものがありました。
今後も新海監督が自由に作品作りを出来る環境が維持される事を強く望みます。