■スタッフ&キャスト■
■感想■
2部作連続公開となった『実写版 るろうに剣心』京都編の後編にあたる『伝説の最期編』は、前作のラストに登場した謎の男=比古清十郎との修行を経て奥義を体得した剣心が志々雄に最後の戦いを挑むという「2時間全部クライマックス」な作品。
和月さんの「煉獄を大切にして欲しい」という意見を汲み取りつつ再構成されたストーリーは原作の要点を取り入れながらよくぞここまで纏めてくれたなと関心する。
格好良くなった牙突で宇水を瞬殺する斎藤とか、あらゆる意味で重みのない安慈と左之助の喧嘩とか、志々雄の噛み付き攻撃や戦いの中で散る由美の儚さなど、ダイジェスト感は否めないものの原作ファンとしてはカットせずに入れてくれた事にまず感謝したい。
その一方で京都と東京をほいほい移動したり、狂人の前に国の要人たちがのこのこ出向いたり、国盗り宣言したにも関わらず剣心が捕まるのをのんびり待っていたり、煉獄が撃ってくださいと言わんばかりに東京湾に停泊していたり、スパイを潜り込ませているはずの志々雄一派が政府の動きを察知できないなど、ツッコミどころも満載。
しかし全編に渡って展開するソードアクションが素晴らしい完成度でそれらの不満点を全てチャラにしてくれる。
パワープレイヤーな比古清十郎との修行。二刀流の蒼紫とのトリッキーな戦い。
宗次郎との神速対決。そして志々雄との最終決戦。
特に「焔霊」のみならず「紅蓮腕」まで繰り出す志々雄の猛攻は圧巻で、剣心、斎藤、左之助、蒼紫の4人を力でねじ伏せるシーンは日本映画のみならず、世界のアクション映画史に新たな1ページを刻んだと言っても過言ではない。
ファン目線で見れば、志々雄の口数がやたらと多く人間臭くなってしまっている事と、「天翔龍閃」の描写にもう少し拘って欲しかったと思うのだが、死闘と呼ぶに相応しい迫力に満ちた映像には大満足。
ただそんな決戦後にひょっこり現れる伊藤博文の手のひら返しには正直興醒め。
志々雄もろとも殺そうとしておきながら、よくもあんな事が言えたものだ。
(というか監督はこれで観客が感動するとでも思ったのか?)
左之助が殴り飛ばしてくれればスッキリ出来たものを、全くもって意味不明なシーンである。
ならば煉獄脱出~そのままエピローグに繋げてくれた方が良かった。
これまで微妙だった主題歌がようやくラストの余韻を引き立てる楽曲になったというのに最後の最後に本編がやらかしてどうする(;一_一)
アクションだけでなくこういった部分の完成度も高めてくれれば更に上を目指せたのに、その点に関してはただただ残念です。