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『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』(2011年) -★★★☆☆-

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製作: 2011年 日本
時間: 110分
原作: 荒川弘
監督: 村田和也 
脚本: 真保裕一 
音楽: 岩代太郎 
出演: 朴路美エドワード・エルリック
    釘宮理恵アルフォンス・エルリック
    坂本真綾(ジュリア・クライトン
    森川智之メルビンボイジャー
    玉川砂記子(ミランダ)
    高本めぐみウィンリィ・ロックベル
    三木眞一郎ロイ・マスタング
    折笠富美子リザ・ホークアイ
    内海賢二(アレックス・ルイ・アームストロング
    星野貴紀(アラン)
    川田紳司(トニ)
    木内秀信ハーシェル中佐)
    小杉竜一(サントス)
    吉田敬(カルロス)

あらすじ

アメストリスの首都セントラルにある中央刑務所から服役中の囚人メルビンボイジャーが脱獄する。
その際彼が用いた未知の錬金術に興味を抱いたエドワード・エルリックとその弟アルフォンス・エルリックは、メルビンの独房で発見した手掛かりを頼りに一路アメストリスの西、隣国クレタとの国境に接する街テーブルシティへと向かう…。

予告映像

感想

原作が終了してから半年近く経過してからの公開となった本作。
前作『シャンバラを征く者』は初期TVシリーズありきのファンムービーで一見さんには辛い内容でしたが、今回は一本の娯楽映画として制作されており初心者にも優しい作りになっています。
ちなみに時間軸は原作コミック第11巻に収録された45話の頃に設定されているそうです。
 
本編スタートと同時に聴こえて来るのが木村良平くんの声だったのは個人的に嬉しい誤算。
ゲストキャストは坂本真綾さんや森川智之さんばかり話題になってますが、玉川砂記子さんや木内秀信さんなど脇を固める声優陣も非常に豪華。
 
カリオストロの城』を意識したというだけあって、悪漢に追われるヒロインを偶然助けた主人公が大事件に巻き込まれるという冒険活劇の王道とも言える展開は観ていてワクワクしますし、
空間を最大限利用したダイナミックなアクションなど見応えのあるシーンも各所に用意されておりクライマックスまでテンポよく進んで行きます。
 
起承転結が確りしている上、「少数民族の弾圧」・「領土問題」といったテーマを『ハガレン』の世界観に違和感無く落とし込んだのは実に見事。
シリーズテーマである「命の尊さ」や「兄弟の絆」といった要素も確り押さえている点も評価出来ます。
 
がしかし。
後半の裏切りと策謀が交錯するどんでん返しの連続は聊か強引で、
私は思わず
「何人兄貴居んだよ!!」
とツッコミを入れてしまいました(苦笑)。
更に言えばスケキヨ(笑)のデザインが突飛で1人だけ別アニメになっていたり、威風堂々乗り込んだ大佐が一度も指パッチンせずに終わってしまうなど詰めの甘さも感じます。
絵柄に関しても新旧シリーズどちらとも違う「美しさ」より「勢い」を重視したデザインのため癖が強く好き嫌いが分かれそうな気がします。
 
そういった難点もあって完璧とは言えませんが、
禁忌を犯したエドだからこそ言える重く熱い名台詞の数々や、遂にモテ期が到来したアルのロマンスなどなど、
映画としての見所は非常に多く、エンターテイメント要素もきっちり内包しているので過度な期待を持たなければ十分に楽しめる筈です。
 テーマがテーマだけに終盤ドロドロな展開もあって結構エグイのですが、最後はちゃんハッピーエンドなので結果オーライ。
作品のイメージを尊重し制作された主題歌『GOOD LUCK MY WAY』の出来も相まって観賞後清々しい余韻を残してくれる良く出来た娯楽映画だと私は感じました。