製作: 2011年 日本時間: 115分
予告映像
感想
TV版の結末に納得が行かなかった私としては再構築された劇場版に期待していたのですが、結果として見事に汚名返上してくれました!!。
(正直な話『~イツワリノウタヒメ~』も構成・展開共に微妙だったのですが今回は素直に良いと言えます!!)
まず本作を観終わって最初に感じたのは伏線の張り方や見せ場の作り方が秀逸だったなという事。
休暇中のおふざけショットかと思われた艦長の波乗りが「あっ」と驚く形でクライマックスに生かされたり、不敵な笑みを浮かべたアルカトラズの所長が単にランカのファンでこれが後の慰問ライブに繋がってくる等、放り投げっぱなしにしない作りにとても好感が持てました。
加えてキービジュアル↑の使い方も上手く、第一弾ポスター(左)に描かれた「歌は魔法」という言葉がランカのライブシーンで見事に体現されていたり、第二弾ポスター(右)の「歌は祈命」という言葉がシェリルの想いと後半の展開を暗示しているなどリンクのさせ方が実に見事!!。
共に衣装がキービジュアルのそれに変わった瞬間、全身に鳥肌が立った事は言うまでもありません。
更に決戦直前ランカが『放課後オーバーフロウ』のジャケットと同じ衣装に着替えアルトに告白するシーンなんかはCDを買って聴き込んでいた者には感慨深い物がありました。
「放課後別れたら明日はもう会えないかもしれない」とかこの後の展開を考えると本当に切ない!!。
キャラクターの描き方もTV版より私はしっくり来ており、特に凹んだアルトに活を入れるオズマの姿にはグッと来る物があります。
『ヱヴァ新劇場版』じゃないけど登場人物の立ち位置がより明確になっており、TV版ではあんまり生かされなかったアルトの「歌舞伎の女形」というバックボーンも上手く作用(ゴスロリとかね)していて、中でも結末に関わるシェリルとの幼少期のエピソードを加えた事は(チビシェリルの可愛さを含め)本当にグッジョブだと思います!!。
後半でフロンティアの実権を握る勢力が二転三転してややこしい点を除けば、映画という媒体に相応しいエンターテイメントになっていたのではないでしょうか?。
ただ1つ残念だったのが戦闘シーンの見せ方で、全体的に雑でただの物量押しになっていたのが如何ともし難い。
アルトが駆る新型「YF-29」とゴーストを引き連れたブレナの「VF-27」の決戦シーンなんて、せっかくのバルキリー同士の戦いだというのに然したる見せ場もなく終わってしまうとかどうなのよ?。
そして今回の劇場版で一番気になっていたのがマクロスシリーズの醍醐味である三角関係の結末!!。
最終的になぁ~なぁ~のまま終わってしまったTVシリーズと違いきちんとアルトが1人を選んでくれた事が私はとにかく嬉しかった。
一瞬「結論出さないままアルト死ぬんじゃね?」と思ったのですが、最後の最後でランカの告白を断りシェリルに想いを伝えてくれたのでほっとしております。
(子供の頃の約束とか出されたら新参者のランカに入り込む余地はないよなぁ…)
ただオチが『マクロスゼロ』と同じく2人が去り1人が残されるというパターンで、綺麗さっぱり「完結!!」と言うよりは「完結?」と言う疑問形になってしまったのが残念。
まぁスタッフロールでランカのソロ曲からシェリルとのデュエットソングに変わる辺り彼女の復活を暗示しているっぽいですしアフターストーリーは観る人の想像にお任せって事なのかな?。
なんか長々と語ってしまいましたが『サヨナラノツバサ』はTV版よりも圧倒的に面白く、また映画らしいエンターテイメント性に富んだ作品である事は間違いありません。
何気に刑務所でのライブシーンでS.M.Sのメンバーがファイヤーボンバーの格好をしていたり、統合軍の増援の中にイサムが居たりとシリーズファンを「ニヤッ」とさせるサービスシーンも確り用意されており観ていて素直に楽しかったです!!。
P.S.
そう言えば物語の前半部分でやたらと手塚アニメの映像が使われていましたが、アレって何か意味あるんですかね?。