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『劇場版 空の境界/第七章 殺人考察(後)』 ★★★☆☆

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製作 2009年 日本
時間 120分
原作 奈須きのこ
監督 瀧沢進介
脚本 平松正樹
音楽 梶浦由記
声の出演
   坂本真綾両儀式
   鈴村健一黒桐幹也
   本田貴子蒼崎橙子
   藤村歩黒桐鮮花
   中田譲治荒耶宗蓮
   保志総一朗白純里緒

あらすじ

様々な出来事を経て互いの事を気に掛けつつも何処か余所余所しい態度で接し続けている両儀式黒桐幹也
そんな2人の出逢いから4年の月日が流れた1999年。再び連続殺人事件が発生する。
夜毎繰り返される凶行。この事件が殺人衝動を抱き犯人の目撃情報とも一致する式の犯行なのではないか?という疑いをどうしても捨てきれない幹也は単身事件の調査を開始するのだが…。

予告映像


感想

「第二章/殺人考察(前)」が学園の変わり者同士のプラトニックなラブ・ストーリーであった様に、その先にある本作もまた純粋過ぎる程のラブストーリーだった。

冒頭は暗く先の見えない「闇」の描写が多く、特に主観映像で街灯の無い路地裏に入って行くシーンは印象的。
お先真っ暗とはこの事か、式の気持ちが分からなくなってしまった幹也の心情を表している様だ。

タイトルにもなっている「殺人」という行為への独特の「考察」も非常に興味深く。
何故人は人を「殺す」のか?。
「殺人」と「殺戮」の違いとは?。
そしてその行為の代償とは?
…カルチャーショックとまでは行かないがその死生観には唸らされました。

傷付き血を流し大事な物を無くしてしまった式と幹也。
そして自分にとって互いが掛け替えの無い存在だと気付くラストシーン。
幻想的な雪と月明かりで照らされた廃墟の表現がとにかく美しく、まるで2人の為だけに存在するチャペルの様。

エンディング後のエピローグで桜並木を歩く2人。
暗く冷たい「死」の臭いが漂っていた本作で初めて穏やかで温かい「生」に満ちたシーンがラストカットというのも感動的で劇場版『空の境界』のフィナーレを飾るに相応しい場面になっていたと思います。

本編には作品の性質上「猟奇的」or「性的」なシーンも多々ありますが、それらはこの作品には必要不可欠なモノであり、それらの表現を含めたとしても私は本作が純粋なラブストーリーであると確信しています。

オタ的な視点では保志くん演じる里緒のイカレど変態っぷりや式のツン具合に悶絶していましたよ(笑)。