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『シャッター アイランド』(2009年) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: SHUTTER ISLAND
製作: 2009年 アメリ
時間: 138分
原作: デニス・ルヘイン
監督: マーティン・スコセッシ   
脚本: レータ・カログリディス 
音楽: ロビー・ロバートソン
出演: レオナルド・ディカプリオ(テディ・ダニエルズ)
    マーク・ラファロ(チャック・オール)
    ベン・キングズレー(ジョン・コーリー医師)
    ミシェル・ウィリアムズ(ドロレス・シャナル)
    エミリー・モーティマー(レイチェル・ソランド)
    マックス・フォン・シドー(ジェレマイアー・ネーリング医師)
    パトリシア・クラークソン(真実を知る謎の女)
    ジャッキー・アール・ヘイリー(ジョージ・ノイス)
    イライアス・コティーズ(アンドルー・レディス)

あらすじ

精神疾患のある犯罪者を隔離収容する孤島の刑務所「シャッターアイランド」。
厳重な管理下に置かれたこの島である夜1人の女性受刑者が忽然と姿を消す事件が発生する。
捜査の為この島を訪れた連邦保安官のテディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)と相棒のチャック(マーク・ラファロ)は早速事件の聴き取りを開始するのだが関係者の証言は一様に歯切れが悪く、皆何かを隠しているかの様な余所余所しい態度を取るのだった…

予告映像

感想

「衝撃のラスト」と言った謳い文句を前面に押し出し宣伝されたミステリー作品ですが、オチはこの手の映画ではよくある事であり特に驚く事でもありませんでした。
 
予告映像でもかなり挑戦的な物言いをしてますが、ハッキリ言って大多数の人間は開始1時間以内にオチが解ります。
精神障害犯罪者だけの病院」+「トラウマ持ちで幻覚に悩ませる主人公」という設定だけで勘の良い人は答えが出る筈です。
 
そもそも宣伝を担当した人間は観客の想像力を甘く見ています。
普通のサスペンス映画として宣伝しておけば純粋に驚けた物を、「凄いんですよ」と自らハードルを上げあまつさえ「どんでん返しがあります」と宣言してるんだから馬鹿としか言えません。
 
その一方で映画自体は非常に丁寧な作りとなっており、オチを成立させる為に全てのシーンに2つの意味を持たせた演出と演技は素晴らしいの一言。
結末を理解した上でもう一度観ると同じシチュエーションでも受け取る印象がガラッと変わるので1本で2本分の楽しみ方が出来る凝った作りで、それ故に複数回観る価値があります。
全てのシーンが伏線でありヒントという、まるで騙し絵の様な映像は大変興味深かった。
 
主演のディカプリオに関しては今回も頑張っていたのですが『ディパーテッド』『ブラッド・ダイヤモンド』『ワールド・オブ・ライズ』『インセプション』と同じ様な泥臭いキャラクターで新鮮味はありませんでした。
特に『インセプション』のコヴと『シャッターアイランド』のテディでは「亡き妻の面影に悩まされる」という点で全く同じなので「また奥さんがネックかよ!!」とか思ってしまいました(苦笑)。
ここ数年のディカプリオは泥臭い役を好んで演じていますが、どうにも凝り固まっている印象が強く、
『ロミオ&ジュリエット』や『タイタニック』で構築された「アイドル像」からは既に脱したのだからもうちょっと演技の幅を広げて欲しいなと思います。
 
この『シャッターアイランド』はオチを含めたプロットにこそ新鮮味はありませんが、随所に拘りを感じる事の出来る意欲作である事は確かです。
もしも多くを語らない宣伝手法であってくれたならば、この作品の評価は更に上がっていた事でしょう。
映画会社の人はその辺りもっとよく考えて欲しいと思います。