ファン待望の桜ルートこと「Heaven's Feel」を信頼と実績のユーフォ―テーブルが初映像化。
原作ゲームの中で最後に現れるルートであり、セイバールートと凛ルートを踏まえた上で展開する為、最低限TVシリーズの「Unlimited Blade Works」を予習して知識を補填しておかないと辛いものがある。
構成的にも三部作の一作目であり、物語が本格的に動き出す前に終わってしまうので、これ単体での満足度は決して高く無いという点も留意しておきたい。
「UBW」と重複する箇所はダイジェストで処理するなど尺を捻出する工夫も見られるが、その上で2時間みっちり使っても展開が勇み足になっているのも気になると言えば気になるところか?。
しかし、それを補って余りある原作愛溢れる丁寧な作りが素晴らしく、後年執筆された「Fate/Zero」の要素なども積極的に取り入れ+αの魅力を生むアレンジの数々はファンであればあるほどニヤリとさせられること請け合い。
美しい冬木市の夜景や雪景色をバックに展開する怒濤の戦闘シーンも見応え抜群なら、物語のキーパーソンである桜と彼女を気に掛ける士郎の心情に重きを置いた構成、特にラストシーンで雪が降りしきる中、失意の士郎を迎える桜の健気さを雪に残った足跡や、指先のしもやけで表現する演出には舌を巻く。
作品への思い入れが強ければ強いほど深く楽しむ事ができる反面、ここからFateシリーズに足を踏み入れようという層には敷居が高く、そういう人は素直に劇中時間軸通りアニメシリーズを追っていくことを強くお勧めする。
セイバーオルタが顕現する第二章が今から楽しみだ。