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『007 慰めの報酬』(2008年) -★★★★☆- (ただし『カジノロワイヤル』ありきの評価)

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原題 QUANTUM OF SOLACE
製作 2008年 イギリス/アメリ
時間 106分
監督 マーク・フォースター
原作 イアン・フレミング
脚本 ニール・パーヴィスロバート・ウェイドポール・ハギス
音楽 デヴィッド・アーノルド
出演 ダニエル・クレイグジェームズ・ボンド
  オルガ・キュリレンコカミーユ
  マチュー・アマルリック(ドミニク・グリーン)
  ジュディ・デンチ(M)
  ジェフリー・ライト(フィリックス・レイター)
  ジェマ・アータートン(フィールズ)
  イェスパー・クリステンセン(ミスター・ホワイト)
  デヴィッド・ハーバー(ビーム)
  アナトール・トーブマン(エルヴィス)
  ロシー・キニア(タナー)
  ジャンカルロ・ジャンニーニマティス
  ホアキン・コシオ(メドラーノ将軍)
  グレン・フォスター(ミッチェル)
  フェルナンド・ギーエン・クエルボ(カルロス大佐)

あらすじ

愛する女性を裏切りの果てに失ったボンドは彼女を操り死に追いやった人物を見つけ出すべく、手掛かりとなる男ミスター・ホワイトを捕らえ尋問を開始する。
やがて浮かび上がる謎の組織とその中心人物ドミニク・グリーン。
グリーンは独裁国家の元将軍メドラーノと手を組み彼の独裁国家再建を支援する見返りに、その国に存在する天然資源の独占を画策していた。
調査を続ける中、ボンドはグリーンとメドラーノから命を狙われている女性カミーユと出会う。
彼女は幼い頃に家族をメドラーノ将軍に惨殺され、その「復讐」を果たすべく行動していた。
互いの境遇を知り協力し合うボンドとカミーユ
傷だらけになりながらも2人はグリーンとメドラーノの取り引きが行われるホテルへと辿り着く…。

予告映像


感想

本作は『カジノロワイヤル』の1時間後からスタートするシリーズ初の続編作品として制作されており、完全に前作ありきの作りとなっている。
お決まりの「Bond. James Bond(ボンドだ、ジェームズボンド)」のセリフも無ければ、ボンドガールとのベットシーンも無い。
奇抜な秘密兵器も影を潜め、泥臭く血生臭い。
ボンドはジョークを交え敵をスマートに倒す紳士ではなく、自分に危害を加える相手を傷だらけに成りながらも片っぱしから黙らす野性的と言うか野蛮な男だ。
従来のシリーズとは一線を画す作りで『007』の新基軸を打ち出した意欲作ではあるが、同時に往年の007ファンを激怒させる結果となってしまった。

シリーズ史上最も短い本編ながら、そこに盛り込まれたアクションは最も激しく、お世辞抜きに10分に一回アクションが展開する。
身1つでの追跡劇から、カーチェイス・ポートチェイスドッグファイトと陸海空全てで展開する怒涛のアクション。
「ジェイソンボーン」シリーズのスタッフが多く参加して作られたリアルな格闘シーンや銃撃戦の連続には圧倒されます。
こういった映画とは無縁だったマーク・フォースター監督が本当にこんな『007』を撮ったのか?と疑ってしまう。

ただアクション初心者であるが故にその魅せ方は終始忙しない。
どんなに凄いアクションシーンでも、そのまま見せては観客は混乱してしまう。
アクション慣れしている監督であればカット割りやスローモーションを用いて、緩急を付けて上手く魅せるのだが、本作はその辺りのノウハウが監督に無い為ノーブレーキでぶっ飛ばしてしまっている。
正直、素晴らしいアクションなのに魅せ方がなってなくて損しているな~と思うシーンが多々ありました。

ストーリーの方はアクション一辺倒かと思いきや、短いながら「復讐」にスポットを当てたドラマも盛り込まれています。
よくよく考えれば説明不足な面も多々あるのですが、其処は素早い展開とアクションで考える暇を与えず、最終的には「ボンド」とヒロイン「カミーユ」2人の「復讐」の結果に帰結させてしまう。

「復讐」によって心通わすボンドとカミーユの関係はとにかくストイックで、最後にカミーユがボンドに送った言葉には「優しさ」と「憐み」が含まれていてとても印象的だった…。