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『007 スペクター』(2015年) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: Spectre
時間: 148分
製作: 2015年 アメリ
脚本 ジョン・ローガンニール・パービスロバート・ウェイドジェズ・バターワース
    クリストフ・ワルツオーベル(ハウザー)
    レア・セドゥー(マドレーヌ)
    モニカ・ベルッチ(ルチア)
    ベン・ウィショー(Q)
    ナオミ・ハリス(マネーペニー)
    デビッド・バウティスタ(ヒンクス)
    ロリー・キニア(タナー)
    イェスパー・クリステンセン(ミスター・ホワイト)
    ステファニー・シグマン(エストレラ)

あらすじ

前任者の亡きMが残した最後の任務を完遂すべく単身メキシコに向かったボンドは、そこで世界を裏から操る犯罪シンジケート「スペクター」に繋がる情報を入手する。
組織再編によって「00部門」が廃止され支援が途絶える中、ボンドはマネーペニーやQの助力を得て「スペクター」の陰に見え隠れする過去の亡霊へと近付いていくのだが…。

予告映像

感想

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』『コードネーム U.N.C.L.E.』『キングスマン』とスパイ映画の当たり年だった2015年の大本命『007 スペクター』を鑑賞。

監督は傑作と名高い『スカイフォール』から引き続きサム・メンデスが担当しているのですが、高い次元で完成されていた前作に比べ本作は因縁の組織との決着に重きを置く余り精細さを欠いた印象が拭えません。

メキシコの「死者の日」を舞台に展開するOPシークエンスも4分間の長回しや実写のヘリを用いたアクロバット飛行など目を見張る物がある一方、絵作りやアクションは前作のそれに比べ酷く単調で物足りない。
中盤のカーチェイスも追いかけっこしてるだけだし、雪山の追跡シーンも強引さばかりが目に付いてしまった。

泣く子も黙る犯罪組織から命を狙われているボンドガールが世界珍百景に選ばれそうな診察所でカウンセラーをやっていたり、スペクターの秘密基地が燃料パイプに1発撃ち込んだだけで大爆発を起こす違法建築だったり、不安定なボートの上からボンドがワルサーPPKで超精密射撃をやってのけるなどツッコミどころも満載で、黒幕のハウザーにしても秘密結社の総帥なのにカリスマ性ゼロで全く魅力を感じないというオマケ付き。
ボンドと過去に繋がりがあるという設定もこれといって生かされず、そもそもどういう経緯であの地位まで上り詰めたのかも不明瞭。
こんな事なら部下のヒンクスの方が愛銃のAF2011-A1を含めよっぽど存在感があった。

本作は観ていて息苦しさを感じるくらい
ダニエル・クレイグのボンドシリーズを総括する」
というお題目に縛られており、その所為で映画としての完成度やエンタメ性が犠牲になってしまったように思えてならない。
カジノ・ロワイヤル』から連なるボンドの物語に決着はついたものの、爽快感やカタルシスは乏しく微妙な後味が残る結果になってしまった。