『機動警察パトレイバー2 the Movie』 ★★★★★

スタッフ&キャスト

製作 1993年 日本
時間 113分
監督 押井守
原作 ヘッドギア
脚本 伊藤和典
音楽 川井憲次
声の出演 大林隆之介 、榊原良子 、冨永みーな 、古川登志夫 、池水通洋 、二又一成

あらすじ

2002年東京。
ある日の夕刻、何者かの手により突如ベイブリッジが爆破される。
事件直後からマスコミは自衛隊機による爆撃を示唆、TVには事件直後に現場を飛び去る戦闘機の姿が繰り返し映し出されていた。
多くの人々が不安を募らせる中、青森県三沢基地所属のF-16J戦闘機が東京上空へと進行する騒ぎが起こる。
頻発する不穏な事件に警察組織と自衛隊は互いに疑心暗鬼に陥り、事態は最悪の方向へと進行していく…。

感想

この作品が公開したのは1993年であるのだが、驚くほど今現在の日本が描かれている。
皮肉だが今作は公開当時よりも"テロが身近になったこの時代"の方が作品テーマを容易に理解する事ができる様になってしまった。
自分もチビの頃に一度今作を観て理解できなかったクチ、しかし世界情勢や政治問題などを理解できるようになってから観直すと、頷く事が多くて驚く。

押井節炸裂で脚本は秀逸。作画も一級品なら音楽も最高。
アニメでは"現実らしい"街並み(背景)を描く事が多いのだが今作は東京都内をロケハンし、緻密でリアルな"現実の東京"が描き出される。
ゲスト声優として、俳優の根津甚八さんや竹中直人さんも出演しており、特に荒川を演じた竹中さんの演技はキャラと共に存在感抜群。
後藤隊長とのやり取りは聴いていてウットリする。

劇中で荒川が言うキッシンジャーからの引用である「国家に真の友人はいない」のセリフ。
そして、まだ戦争状態では無いと言い張る官僚を前に後藤が吐き捨てる「遅過ぎたと言ってるんだ!!」とその直後から始まるヘルハウンドの東京爆撃。
一連のシーンはどれも鳥肌モノで、セリフも映像と相まって重みを増す。

未来の出来事が尽く描かれている本作。
最後に「東京が戦場になる」事だけは現実になって欲しくないな～と感じてしまいます。