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いよいよシン・ゴジラが地上波放送されるね。

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今週末いよいよ地上波で『シン・ゴジラ』が初放送となります。→ネタバレ無しレビューはこちら
私はてっきり日テレ(金ロー)で流すとばかり思っていたので、テレ朝がやると聞いた時は耳を疑いました。
地上波放送される際は『シン・エヴァ』の予告を最後にアタッチメント!!と期待していたのですが、このタイミングだとやるのは『GODZILLA -怪獣惑星-』でしょうね…。

しかし、なんやかんや公開から1年以上経過している事実に驚愕なのですが、このまま行くとゴジラに殴り掛かった質量兵器群(超高層ビル)もあっちゅう間に完成するんだろうなぁ~。

私は庵野さん信者なんで『シン・ゴジラ』最初から期待していましたよ。
公開前にネットでネガキャンしてた連中みたく手のひら返ししてません。
信者ですから(キリッ)。
でもこれまで手掛けた実写作品が曲者揃いなので今回も変化球で勝負するかと思いきやド直球で来たのには正直驚かされました。
「ああ、ちゃんとエンタメになってる」と(笑)。

一部では「会議ばっかでつまらない」と文句を垂れてる奴がいるそうですが、私に言わせれば「その会議をこんな面白く描いた作品は他にねぇだろ!」と反論せずにはいられません。
長ったらしい報告を絶妙なタイミングで「以下略」とカットした時は映画館で吹き出しそうになりました。
煽るつもりはありませんが、これを楽しめないのはお子様くらいでは?。

あと笑いを誘うコントのようなシーンの数々。
「えっ?動くの?」「そりゃ生き物だからな」とか、有識者3人の素っ頓狂な返答と総理以下メンバーのリアクションは絶対笑いを取りに来てますよね。
「想定外」の使い方なんて完全にブラックジョークです。

「そんなものが居るわけないだろ」→尻尾がドーン。
「上陸はありえません」→「えっ、蒲田に」。
とフラグの回収の速さにも定評があり、「やったか?」の三弾活用など、お約束の使い方も秀逸。

ゴジラの生態に関しても最初蒲田くんを観た時はやはり驚きましたね。
モデルとなった「ラブカ」より『ヱヴァ:破』のアバンで仮設5号機と戦った「第3の使徒」が脳裏を過ぎったのは私だけではないはず。
吞川を遡上している段階で予告編とサイズが違ったので、「ゴジラ細胞に汚染された海洋生物かな?」「これを追って本体が上陸するのかな?」と冷静に分析していたのですが、立ち上がり初代の声で咆哮した瞬間「なんてこった!!、こいつがゴジラだ!!」と驚愕したものです。

「死の描写を避けてる」とかお門違いな批判もあるようですが、一瞬だけ映る潰された車から人の足が出ているカットのおぞましさや、逃げ遅れた親子がビルの崩壊に巻き込まれるシーンで十分すぎるくらい描けていると私は思います。
押し寄せる瓦礫から全力で逃げる人の後ろ姿など、先の震災の記憶と人並みの想像力があれば、これだけでその被害を察する事ができるはずです。

また、自衛隊の描き方も例によって左寄りな奴等がdisってましたが、『ガメラ2』の時と言い国と国民を守る事が軍国主義とか言ってんだからホント頭が可笑しいですね。
「志願させるのか?」「いえローテで行きます」、「気落ちは不要、国民を守るのが我々の仕事だ。攻撃だけが華じゃない」、「礼はいりません、仕事ですから」と、自衛隊周りの描写は痺れるシーンしかない。

ゴジラに最初に傷を負わせたのは米軍のバンカーバスターで花森大臣は複雑な表情を浮かべていましたが、東京大空襲の時と同じ基地から飛来した爆撃機ゴジラによって撃墜されるというのは狙ったかどうか分かりませんが凄く象徴的。
(ただ初見時あのイデオンビームはさすがにやり過ぎだろと苦笑いしましたww)
何かにつけて「かの国」と揶揄したり反米的と言われればそうなんだけど、カヨコの存在やヤシオリ作戦に志願者が続出している事に触れるシーンなど、最終的には協力して事に当たっているので私はあまりそう感じませんでした。

あと忘れちゃいけない巨災対
ネルフというより特車二課ライクな首を斜めに振らない曲者揃いの寄せ集め集団で結成シーンで『エヴァ』のあのBGMが流れた時はニヤニヤが止まらなかった。
尾頭さんと安田ばっか持て囃されてるけど、思い付くと手を叩く間准教授とか、小まめに家族と連絡とったり「ごちそうさま」ときちんと言える森課長好き。
途中からしれっとメンバー入りした根岸さんも良い味出してるし、要所要所で重要な発言をする立川の鋭さも良い。
ようするに全員好き。

庵野さん的には矢口×志村カップリングが盛り上がるかと思ったら、アドリブの「水ドン」で横から掻っ攫っていた松尾諭さんの泉ちゃんも好き。
「そこにもえんとは君」の「もえ」が「燃え」じゃなくて「萌え」で萌え。
「自国の利益の為に他国に犠牲を強いるのは覇道です」とか、生きて戻って来いを「幹事長なら任せとけ」で伝える言葉のチョイスが洒落ている。

あと臨時総理の里見さんも良い。
「のびちゃったよ~」とおどけてみたかと思えば、「避難とは、住民に生活を根こそぎ捨てさせることだ」と国民の立場になって物事を考えられる政治家の鏡。
ヤシオリ作戦の裏でフランスを説得し続けたり、復興に向け次の世代にバトンを渡すよう取り計らうなど、パトレイバー後藤隊長並みの切れ者で好き。

ちなみに大河内総理も最初は頼りなかったけど「自衛隊の弾を国民に向ける事は出来ない!!」「武器の無制限使用を許可します」と必要な時は即決するし、米軍の爆撃に際し「都民を置いて我々だけ逃げ出す事は出来ん!!」と発言するなど、責任感が無い訳ではないので愛おしい。
故にその直後の内閣総辞(殉)職は辛かった。

何かと酷い奴というレッテルを貼られがちな赤坂さんに関しては、どこをどう見たらそういう風な結論になるのか理解に苦しむ。
東京での核兵器使用を告げられた時のあの表情を見れば彼が私情を押し殺してもっとも合理的な手段で事態を収拾しようとしている事が分かるだろ?。
ヤシオリ作戦承認の際にも「好きにされてはいかがでしょう?」と総理の背中を押したり、現実主義的な物言いをしてきた彼が最後の最後に「今度も立ち直れる」と自らの希望を口にするシーンなど、誰よりも人間臭くて私は大好きです。

そして主人公の矢口蘭堂
青臭いところがあるかと思えば、利用できるものは親のコネでも利用する政治家タイプ。
ヤシオリ作戦出陣前のスピーチは長谷川博己さんの熱演も相まって胸が熱くならないとは言わせない!!。
被災地の視察で手を合わせたり、特殊建機第一小隊の犠牲に苦悶の表情を浮かべるなど、この人は感受性が豊かなんでしょうね。

そんな矢口と恋仲にはならないカヨコ。
次期大統領を狙ってるのに英語がルー語だとか馬鹿にされてるけど、彼女だけ相当アニメなキャラだから私は別に違和感は感じない。
少なくとも外国映画に出てくる、なんちゃって日本人の胡散臭さに比べれば百万倍マシ。
見た目はミサトさんぽいんだけど、系譜としては完全にアスカ。
(ちなみに尾頭さんはリツコさんよりマヤっぽい)
彼女が本作で初めて「GODZILLA」と英語発音で言うのはギャレゴジで謙さんが日本語の発音で「ゴジラ」と言ったのに対する意趣返しでニヤニヤ。

てな感じで語り出すと、さらっとこんな長文が書けてしまう圧倒的な情報密度を誇る『シン・ゴジラ』。
自宅の小さいテレビと、CMなどブツ切りにされた状態で、本作の魅力をどこまで体感できるか分かりませんが、初見の人はお願いだから片手間に観ず、全神経を集中させて鑑賞して欲しいと強く思う。


ところで本作には小出恵介氏もちょい役で出演しているのですが今回の放送で当該シーンはカットされるのかな?。