2016-05-10 『天空の蜂』(2015年) -★★★★☆- ┃┣ 邦画 ┣◆映画レビュー◆ ◆映画◆ スタッフ&キャスト 製作: 2015年 日本 時間: 138分 原作: 東野圭吾 監督: 堤幸彦 脚本: 楠野一郎 音楽: リチャード・プリン 出演: 江口洋介(湯原) 本木雅弘(三島) 仲間由紀恵(赤嶺) 綾野剛(雑賀) 柄本明(室伏) 國村隼(中塚) 石橋蓮司(筒井) 竹中直人(芦田) 向井理(高彦(成人)) 佐藤二朗(今井) 光石研(佐久間) 落合モトキ(関根) やべきょうすけ(根上) 手塚とおる(高坂) 永瀬匡(上条) 石橋けい(篤子) 松島花(野村) あらすじ 95年8月8日、自衛隊用の最新大型ヘリコプター「ビッグB」が何者かにより遠隔操作されて動き出し、福井県にある原子力発電所「新陽」の真上に静止する。犯人は「天空の蜂」と名乗り、国内すべての原発を廃棄するよう要求。従わなければ爆発物が搭載された「ビックB」を原発に墜落させると宣言する。「ビッグB」を開発した設計士の湯原と、原発の設計士・三島は、事件解決のために力を尽くすが…。 予告映像 感想 東野圭吾さんが1995年に発表した同名小説を、堤幸彦監督がおふざけ一切なし(ここ重要)で映像化した『天空の蜂』を観る。 最新鋭大型ヘリコプター「ビッグB」を奪取した犯人が日本にある全ての原発の即時停止を要求。 それが聞き入れられない場合ビッグBを稼働中の原発「新陽」の炉心めがけて墜落させると宣言する。 あらすじだけ読むと反原発映画に見えなくもないのですが、本作が糾弾するのは「原発」そのものではなくその欠点を知りながら利潤の為に政策を推し進める権力者。 そして、安全という言葉を鵜呑みにして生きる盲目で愚鈍な大衆に集約されています。 前半はヘリに取り残された少年の救出劇をメインに、江口洋介さん演じるダメ親父が蔑ろにしてきた家族との絆を取り戻すエンタメ志向な作り。 後半は一転、虐げられた声なき者たちの怒りが表面化し、原発政策の裏に隠された不都合な真実が浮き彫りになる濃密なサスペンスへと変貌していきます。 ヘンテコな登場人物も下世話な内輪ネタも封印した堤幸彦監督の丁寧な演出と、本木雅弘さんの迫真の演技が本当に素晴らしく、最後の最後で明らかになる全てを見据えた犯人の計画は背筋が寒くなること請け合い。 CGで描かれるビッグBの完成度は今ひとつですがアパートの爆破シーンなど目を見張る部分は非常に多く、無知は罪だと批判する骨太なメッセージ性を含め評判通り見応えのある作品でした。