episode7 「虹の彼方に」
力に飲まれバナージの説得を頑なに拒み続けるリディだったが、マリーダのとったある行動によってその呪縛から開放される。
足掛け4年。制作期間を含めればそれ以上の時間が掛かっている『ガンダムUC』も遂に完結。
舞台はバナージとオードリーの出会い地「インダストリアル7」に戻り「ラプラスの箱」を巡る最後の戦いが繰り広げられます。
率直な感想としては、これまでのシリーズに比べ展開が矢継ぎ早でやや忙しない印象を受けました。
episode4同様マイナーMSの活躍に時間を割く一方、リディの心情描写不足で言動が支離滅裂になっていたり、アンジェロがフロンタルに心酔するに至った経緯も触れられずじまいだったりとペース配分にも違和感があります。
マリーダさんに関しても「心に従った」結果とはいえ、お父さん(ジンネマン)との約束をあっさり破ってしまったのは残念。
ここはもう1つドラマが欲しかった。
遂に明かされた「ラプラスの箱」の正体。
これには「そんな物か?」と思う人もいるでしょうが(事実オットー艦長は「たったそれだけ事」と発言します)、どんな超兵器が飛び出すよりも宇宙世紀という世界では意味のある物なのだと思います。
未来をよくしようという「願い」が結果として「呪い」になってしまう皮肉。
これはシリーズ通して描かれてきたテーマでもあり私は大いに納得できました。
ギミック満載のネオ・ジオングが発生させた「力場」の影響で実弾・ビーム兵器が破壊され殴り合い(MSでだが)にもつれ込むのも主義や主張の衝突を具現化しているようで面白い。
途中まで覚醒したバナージがアムロやシャアのように消えてしまうのではと心配したのですが戻ってきてくれて本当に良かった。
あとはカミーユみたいなってない事を祈るばかりです。
それにしてもアルベルトは何でローナン議長が発射ボタンを押した後に「リディ少尉がいるんだ!!」とカミングアウトしたのでしょう?。
ここだけはどうしても納得行きません。
あと何気にアンジェロも生きていましたが、大佐のいない世界に1人残されるなんて死ぬより辛いでしょうね。
むしろ後追い自殺しなかったのに驚きです。
もしや「逆襲のアンジェロ」への伏線か?。
前代未聞の延長戦となったepisode7。
ラストとあって総力戦で挑んだ圧倒的な映像クオリティはさすがの一言。
マリーダとの別れに涙を流すジンネマン、自分のした事に悶え苦しむリディ、別れ際アルベルトに一瞥するマーサなど、細かな芝居付けも本当に素晴らしい。
失うことで出会ったジンネマンとマリーダさん、親が遺した負債を背負わされたオードリー、家柄・血筋に縛られ苦悩したリディ、そして可能性という希望を託されたバナージ。
それぞれの「親と子」の物語に決着をつけると共に、宇宙世紀の総括的な意味合いも込められたとても見応えがあるドラマでした。
最後に制作に関わった全てのスタッフ・キャストの皆々様。
本当に本当にお疲れ様でした!。