スタッフ&キャスト
製作: 2012年 日本
時間: 128分
監督: 内田けんじ
脚本: 内田けんじ
音楽: 田中ユウスケ
音楽: 田中ユウスケ
35歳にして定職もなく、売れない役者稼業にもほとほと嫌気がさした桜井(堺雅人)は自殺にまで失敗してしまう。
その後、出掛けた銭湯で見るからに勝ち組男のコンドウ(香川照之)が彼の目の前でひっくり返り、頭を強打したせいで記憶を失ってしまった。
桜井は衝動的に彼の荷物をくすねてコンドウに成り済ましたのだが、実はコンドウは裏の世界では名の知れた"便利屋"だった…。
予告映像
感想
地上波で放送された物をたまたま視聴し、その巧みな脚本と構成に唸らされた『アフタースクール』の内田けんじ監督最新作『鍵泥棒のメソッド』を観る。
だって香川さんのポロシャツ・ジーパン姿とか斬新過ぎますよ(笑)。
頭部を強打し記憶喪失になったコンドウは持ち物から自分を桜井だと思い込み、その酷い生活を改めようと努力を開始。
根が真面目なため役者としての仕事も次第に増え、偶然出会った広末良子さん演じる婚活中の雑誌編集長・水嶋香苗とも良い感じになって行く。
一方、コンドウになりすました桜井は彼の金を使い自身の負債を返済するのだが、やがて仕事絡みのトラブルからヤクザに目を付けられてしまい…といった感じ。
開始早々、ギャグ漫画さながらに石鹸に足を取られてすっ転ぶ香川さんの姿は爆笑必至。
普通入れ替わったら周りの人間が気付きそうなものですが共に1人身で家族が居らず、近所付き合いが希薄だったり、自身の素性を隠している為、誰につっこまれる事もなく事態が進行して行きます。
コントの様な行き違いや独特の間で展開する会話劇が観客の笑いを誘い、中でも桜井とコンドウの掛け合いは入れ替わっている時も、元に戻ってからも可笑しくて仕方ない。
『半沢直樹』のイメージで観ると楽しさが倍増する事請け合い。
「喜劇」と称するだけあって泣けるシーンやちょっと怖いシーンがあっても最後は確り笑顔にさせてくれる
葬式でのビデオメッセージなど「うるっ」とさせておきながら、きっちりと笑いに昇華させるのだから参った。
終盤の二転三転するスリリングな展開。
そして文字通り「キュンキュン」するトキメキのラスト。
「リア充爆発しろ!」的なツッコミも入りつつ、スタッフロールでは残された"彼"にも幸せの兆しが訪れ、めでたしめでたし。
『アフタースクール』のような「騙される快感」はありませんが、今回も良く纏まっていて関心させられました。
観終わって前向きになれる素敵な作品であり、内田けんじ監督の今後の活躍にますます期待したくなる一本です。