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『クラウド アトラス』(2012年) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: CLOUD ATLAS
製作: 2012年 アメリ
時間: 172分
監督: ラナ・ウォシャウスキートム・ティクヴァ 、アンディ・ウォシャウスキー
脚本: ラナ・ウォシャウスキートム・ティクヴァ 、アンディ・ウォシャウスキー
音楽: トム・ティクヴァ 、ジョニー・クリメック 、ラインホルト・ハイル
出演: トム・ハンクス(ドクター・ヘンリー・グース/安ホテルの支配人/アイザック・サックス/ダーモット・ホギンズ/『カベンディッシュの大災難』の主演俳優/ザックリー)
     ハル・ベリー(農園で働くマオリ族、ジョカスタ・エアズ/ルイサ・レイ/出版パーティーのインド人女性客/ソンミの首輪を外す闇医者オビッド/メロニム)
    ジム・ブロードベント(モリヌー船長/ビビアン・エアズ/ティモシー・カベンディッシュ/路上の二胡弾き/プレシエント族)
    ヒューゴ・ウィーヴィングハスケル・ムーア/指揮者ケッスルリング/殺し屋ビル・スモーク/女看護師ノークス/メフィー評議員/オールド・ジョージー
    ジム・スタージェス(アダム・ユーイング/安ホテルを追い出される客/メーガン(シックススミスの姪)の父親(写真)/スコットランド人のサッカーファン/ヘジュ・チャン/ザックリーの義弟アダム)
    ペ・ドゥナ(ティルダ/メーガン(シックススミスの姪)の母親(写真)/違法工場のメキシコ人女性/ソンミ451/ソンミ351/売春婦ソンミ)
    ベン・ウィショー(船の給仕係/ロバート・フロビシャー/レコード店店員/デニーの妻ジョージェット/部族の男)
    ジェームズ・ダーシー(若きルーファス・シックススミス/老年のルーファス・シックススミス/施設の看護師ジェイムズ/記録官)
    ジョウ・シュン(死体を発見する男性ホテル従業員/ユナ939/ザックリーの妹ローズ)
    キース・デヴィッド(召使いクパカ、ジョーネピア/アンコー・アピス将軍/プレシエント族)
    デヴィッド・ジャーシー(オトゥア/ルイサの父レスター(写真)/プレシエント族のデュオファイサイト)
    スーザン・サランドン(ホロックスの妻、アーシュラ/男性科学者ユースフ・スレイマン/アベス)
    ヒュー・グラント(ホロックス牧師/高級ホテルの警備員/ロイド・フックス/デニー・カベンディッシュ、リー師/コナ族のチーフ)

あらすじ

1849年、太平洋諸島。
若き弁護士に治療を施すドクター・ヘンリー・グース(トム・ハンクス)だったが、その目は邪悪な光をたたえていた。
1973年のサンフランシスコ。
原子力発電所の従業員アイザック・スミス(トム・ハンクス)は、取材に来た記者のルイサ(ハル・ベリー)と恋に落ちる。
そして、地球崩壊後106度目の冬。
ザックリー(トム・ハンクス)の村に進化した人間コミュニティーのメロニム(ハル・ベリー)が現れる。

予告映像

感想

マトリックスシリーズ」を手掛けたウォシャウスキー兄弟、改めウォシャウスキー姉弟
そして『パフューム ある人殺しの物語』、『ザ・バンク 堕ちた巨像』のトム・ティクヴァが連盟で手掛けた19世紀から文明崩壊後までの異なる時代を繋ぎ、そこに生きる人類の姿を紡ぐ壮大な映像叙事詩
 
1849年の公証人。1931年の作曲家。1973年のジャーナリスト。2012年の老編集者。2144年のクローン人間。そして2321年の羊飼い。 
6つの時代。6人の主人公。
登場人物は輪廻転生し、全ての時代が何かしらの形で繋がっていく。
それは「想い」であり、「作品」であり、「思想」だったりする。
そして悪意や善意といった人々の業を飲み込み未来を作る、とても知的で詩的な物語だ。
 
出演者も非常に豪華で、
とベテランから若手まで取り揃えた国際色豊かなキャスティングとなっている。
彼らが特殊メイクによって年齢・性別・言語・国籍すら変え、それぞれの時代で様々な人物を演じているのも興味深い。
正直な話、あまりに自然で言われなければ気付かないレベルだ。
 
映画の性質上、6つのエピソードが同時進行で描かていくのだが、例えば一番古い1849年では「黒人奴隷」。
2321年では労働力として消費される「クローン人間」といったように形を変えつつも本質的には同じテーマを扱っているので意外と混乱しない。
時代劇・フィルムノワール・コメディ・SF・etc.
ジャンルもバラバラなのだが、それぞれの物語には何かしらの「繋がり」が感じられる。
 
出会い、別れ、また出会う。
悪人が善人になり、虐げられた存在が人々を救う側になる。
過去の予言のような言葉と、その結果にあたる未来が並行して映し出され、それぞれの世界が共鳴するクライマックスは圧巻。
 
大作映画になればなるほど娯楽性。
ひいては「解り易さ」が重視されるが本作はその対極にある。
本編も3時間近くあるし「よく製作費が集まったな」というのが率直な感想。
 
しかし、薄っぺらい脚本をCGや3Dで誤魔化す近年のハリウッドに、こういった作品を生み出せる環境がまだ残っていた事は素直に嬉しい。
何度も観返して、深い余韻にひたる「大人向け」な作品です。