あらすじ
軌道エレベーター「エンデュミオン」の完成を目前にお祭りムードに沸く学園都市で、幻想殺し(イマジンブレイカー)を右手に宿した少年・上条当麻と、彼の同居人にして10万3千冊の魔道書を記憶した少女・インデックスは、ひょんな事から不思議な歌声を持つ少女・鳴護アリサと出会う。
夢に向かいひた向きに努力する彼女の姿に魅せられる当麻とインデックス。
やがて双方の狙いがアリサの歌に秘められた力である事が明らかとなる…。
予告映像
感想
言わずと知れたと言っても知っているのはオタク業界に近しい人達だけな気がしなくもない「とある魔術の禁書目録」待望の劇場版!!。
予想通りと言えば予想通りなのですが一見さんお断りの完璧な「ファンムービー」に仕上がっており、シリーズお馴染みの面々が全部乗せのパフェみたいに登場しオールスターキャスト勢揃いのお祭り騒ぎになってます。
申し訳程度の打ち止め&アクセロリータさんコンビの活躍や、トンデモ兵器を持ち出したシスターズの面々、更に初春や佐天さんと言った『超電磁砲』からの出張組まで加わって、ファンであればこの過剰なまでのサービス精神に拍手を贈りたくなる事請け合い。
(その影で婚后さんや吹寄&姫神さんはモブキャラ処理されているのは御愛嬌)
物語は軌道エレベーター「エンデュミオン」に隠された秘密を軸に、ひょんな事から知り合った少女「アリサ」を守るべく上条先生が性懲りもなく事件に首を突っ込んで大変な目に遭います。
毎度の事ながら天然ジゴロっぷりを如何なく発揮し敵味方関係なくフラグを立てまくり、大怪我しても次のシーンではケロッとしているレベル0とは思えない異常治癒力を見せ付け、最後は宇宙に飛び出しての超絶説教タイム&美少女への顔面グーパンチをお見舞いするという、勝手知ったる何時ものパターン。
ただ今回は
「あれ?、これ禁書目録?」
と思う様な挿入歌の数々やライブシーンが飛び出し、一瞬『マクロス』を観てる様な気分になります。
劇場版と言うだけあって映像面のクオリティは底上げされており、特に多摩センターのメインストリート(笑)を使った最初の戦闘シーンは夕空の色合い・窓ガラスのきらめき・そして画面狭しと動き回るアクション描写など、とにかく素晴らしい!!。
だが前半で気合を入れ過ぎたのか後半一気に失速しラストバトルに至っては宇宙まで遠征したにも関わらず舞台や戦闘描写が酷く凡庸になってしまった。
普通は逆なんですけどね…。
しかも終盤では脚本の粗も次々と露呈。
最終的に物語は「奇蹟」に縛られた2人の少女へと集束していくのですが、そのとんでもプロットにはまぁ目を瞑るとして、
事件の首謀者であるレディリーの雑過ぎる過去エピソードを筆頭に、エンデュミオン上層部にあれだけ残っていた観客が忽然と姿を消したり、彼等が取り残されているにも拘わらずアンチスキル含む地上の面々がパージを決行したり(事前に助け出す描写もなかった)、肝心要のアリサとシャットアウラがその後どうなったかなどなど、ほったらかしな部分が多すぎます!!。
ローラ=スチュアートとアレイスター=クロウリーの会話や、「エンデュミオンの奇蹟」という副題からして全員無事生還したと思われますが、その辺りの補足がエピローグからゴッソリと抜け落ちているのは如何な物か?。
タイトルにもなってんだから、そこは確り描こうよ!!。
そもそも全ての起点である最初のシャトル事故で親父さんだけ助からなかった理由に言及しないのもどういう了見なのでしょう?。
流れからして力が発動した時点で既に力尽きていたと思われますが、そうであるなら客席をコックピットへと向かい歩いていたアリサの伏線を生かし、その部分をきちんと描くべきではなかったのか?。
そうすればクライマックスで元に戻ったシャットアウラが記憶の中で父と再会する感動的なシーンも演出出来たかもしれません。
とにかく後半部分のやっつけ感が酷く、お陰でカタルシスを感じなければスッキリもしない。
「アスキー・メディアワークス創立20周年記念作品」と謳うのだから『涼宮ハルヒの消失』みたいに上映時間を2時間オーバーにしてでも、もっと描き込むべきでした。
前半部分が良く出来ていただけに詰めの甘さが残念でなりません。
最後に神裂さんの描写ですが、あれは盛り上げるつもりでやったのでしょうが正直言って萎えました。
私は原作ファンでないのでよく解りませんが「聖人」というのは宇宙空間で無双した挙句、身一つで大気圏を突破して帰還出来る物なのでしょうか?。