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『るろうに剣心』(2012年) -★★☆☆☆-

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スタッフ&キャスト

製作: 2012年 日本
時間: 134分
原作: 和月伸宏
監督: 大友啓史  
脚本:
藤井清美 、大友啓史
音楽: 佐藤直紀
出演: 佐藤健緋村剣心
    武井咲(神谷薫)
    吉川晃司(鵜堂刃衛)
    蒼井優(高荷恵)
    青木崇高相楽左之助
    綾野剛(外印)
    須藤元気(戌亥番神
    田中偉登(明神弥彦)
    斎藤洋介(浦村署長)
    平田薫(関原妙)
    永野芽郁(三条燕)
    平山祐介(我荒・兄)
    深水元基(我荒・弟)
    奥田瑛二山県有朋
    江口洋介斎藤一
    香川照之(武田観柳)

あらすじ

動乱の幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられた凄腕の剣客がいた。
彼の名は緋村剣心
人々が幸せに暮らす未来を作る為その手を血に染め自身も傷付いた男は時代が明治を迎えると共に「不殺」の誓いをたて姿を消す。
 
それから10年。
流浪人としてあてのない旅を続けていた剣心は父の遺志を継ぎ女手一つで「神谷活心流」の道場を切り盛りする神谷薫と出会う。
ひょんな事から彼女の命を救い、そのお礼にと道場で居候する事となった剣心。
 
それと時を同じくして、街では「抜刀斎」を名乗る人斬りが「神谷活心流」を語り凶行を繰り返していた…。

予告映像

感想

少年漫画らしいアクション描写に格闘ゲームやアメコミテイストを盛り込んだ魅力的なキャラクターによって世界的な人気を誇る和月伸宏さん原作の『るろうに剣心』が待望?の実写映画化。
 
製作発表と共に批判の嵐で始まる前から駄作認定されていたものの、いざ公開すると思いのほか高評価。
私も否定的な記事を書いた手前、その真偽を確認せねばと思い遅ればせながら観て来たのですが、確かに酷評するほど悪くはないのですが、かといって絶賛するほど良くもないというのが率直な感想。
 
脚本に関しては原作エピソードの印象的な部分を確りと押さえつつ脱線しない範囲で脚色を加えており素直に良かったと思う。
特に原作者である和月さんも絶賛した
「己に向いた刃は、やがてお前を苦しめることになるぞ」
という映画オリジナルのセリフは本当に素晴らしく、斎藤とのつばぜり合いで押し負けた剣心が自分の持つ「逆刃刀」で傷を負うというシチュエーションを含めて完璧です。
他にも人斬り時代の剣心が捨てた刀を刃衛が手にし狂気に染まる導入部や、物語中盤に組み込まれた十字傷のエピソード。
そして観柳ではなく刃衛をラスボスに据えるなど一本の映画として上手い事まとめたなと感心しました。
(ただ御庭番衆の代わりに人誅編に登場した外印と戌亥番神を登場させたのは意味不明)
 
そんな脚本面の完成度の高さに比べセット臭が強すぎる美術面の弱さや、一部キャストの演技が辛いシーンもちらほら…。
やはり剣心の「おろ?」は実写だと浮いてしまっているが、吉川晃司さんの刃衛は本物過ぎて「この感触…イイね」の名セリフがなかったのは残念ですが、他のメンバーと比べ頭一つ抜きん出ていたと思います。
青木崇高さんの左之助も喧嘩上等な荒々しさが出ていて良かったですし、観柳役の香川照之さんのやり過ぎとも思える怪演も元がオーバーなキャラクターなんでバッチリ。
江口洋介さんの斎藤一は威圧感という意味では成功していたと思いますが、ビジュアル的にはやはり伊勢谷友介くんの方が良かったと思うのは私だけか?。
 
評判の良い殺陣の数々は確かにスピード感があって良かったですし佐藤健くんの血の滲む努力も伺えます。
如何にして剣心の「神速」を体現するか苦慮したと思いますがCGに頼らずにやり切った点は潔い。
「飛天御剣流」に関しても技名を叫ぶマンガ的な描写は廃され、使われたのも刃と鞘による2連撃を繰り出す現実的な「双龍閃」だけという徹底っぷり。
ただ剣心がジェット・リー的な格闘術を使ったりパルクールで移動する描写は「違うだろ!!」と思ったし、斎藤の「牙突」(シャンデリアを狙ったから正しくは対空用の牙突・参式)もあからさまにワイヤーで釣られてる感ありありで、突きを極限まで昇華した技の筈なのに踏み切りは甘いわ、直線じゃなく放物線描いて飛んでいくわで、こんな事なら使わない方が良かったわ…。
 
音楽面も朝倉紀行さんが手掛けたTVアニメシリーズのBGMに比べインパクトが弱く、時代劇なのに英語詞+ロックなテーマソングのミスマッチ感にも首を捻るばかり。
 
良い部分と悪い部分が両極端でチグハグだったなというのが私の感想ですが、少年マンガの実写映画化として見れば及第点だったと思います。