旧いまここにあるもの

Yahoo!ブログ時代のアーカイブ。記事内のリンクが上手く機能しなかったり、タイトルが文字化けしたり、画像のアスペクト比が可笑しいのはダメダメな移行機能の所為。新ブログはこちら→https://imakokoniarumono.hatenablog.com/

『ラスト・ターゲット』(2010) -★★☆☆☆-

イメージ 1 

スタッフ&キャスト

原題: THE AMERICAN
製作: 2010年 アメリ
時間: 105分
原作: マーティン・ブース
監督: アントン・コルベイン 
脚本: ローワン・ジョフィ  
音楽: ヘルバート・グリューネマイヤー 
出演: ジョージ・クルーニー(ジャック)
    ヴィオランテ・プラシド(クララ)
    テクラ・ルーテン(マチルデ)
    パオロ・ボナチェッリ(ベネデット神父)
    ヨハン・レイゼン(-)
    イリナ・ビョークルンド(-)
    フィリッポ・ティーミ(-)

あらすじ

 スウェーデン、ダラルナの森の一軒家で女性と一夜を過ごしたジャック(ジョージ・クルーニー)は、翌朝白銀の世界で何者かに狙撃される。
間一髪で命拾いした彼は、狙撃手と連れの女性を同時に撃ち抜く。
ジャックはイタリア・ローマに移動し、組織の連絡係パヴェル(ヨハン・レイゼン)に自分が突如襲われた理由について問いただすが…。

予告映像 

感想

マーティン・ブースのミステリー小説『暗闇の蝶』をジョージ・クルーニー主演で映画化し米国では初登場NO,1を記録したこの作品。
そういった華やかな成績とは裏腹に静かで淡々と物語が展開する実に大人向けの映画でした。
 
ジョージ・クルーニー演じる殺しのプロ・ジャックの人物像はまるで実写版ゴルゴ13or次元大介
度重なる仕事で精神的にも肉体的にも疲弊し、給養も兼ね依頼された銃器をコツコツと作り上るその姿からは職人としての貫録を感じ取る事すら出来る。
巷ではこの寡黙なキャラクター像が「日本のサムライの様だ」と評されていますが、その表現にも納得。
 
社会との関わりは最小限に抑え、友人もなく孤独な日々を送る彼がある女性と出会い足を洗う決意をするというのがこの映画の大筋なのですが、
古今東西、殺し屋が誰かの為に堅気になる事を決意する物語って得てして不幸な末路を辿る訳で、この作品も御多聞に漏れずそうなります。
よってストーリーに新鮮さはありません。

しかしカメラマン出身の監督がイタリアの田舎街を舞台に映し出す映像がとにかく美しく、どのカットも絵になる様な構図になっていて唸らされる。
特に鏡などを使用しワンカットに2つの視点を取り入れる凝り凝りのレイアウトや、映画のラストでミスターバタフライと呼ばれる主人公とリンクした蝶が飛び去る描写などには感動してしまった。
 
アクション主体の映画を思わせる邦題や予告などの印象で観ると間違いなく肩透かしを喰らいますが、アート系作品なんかが好きな人は高確率で嵌ると思う。
系統的にはアメリカ映画というよりヨーロッパや往年の日本映画に近く、派手さは無い物の深い味わいを感じさせる通好みの作品でした。