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『ザ・タウン』(2010) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: THE TOWN
製作: 2010年 アメリ
時間: 125分
監督: ベン・アフレック 
原作: チャック・ホーガン 
脚本: ベン・アフレック 、ピーター・クレイグ 、アーロン・ストッカード 
音楽: デヴィッド・バックリーハリー・グレッグソン=ウィリアムズ 
出演: ベン・アフレック(ダグ)
    ジョン・ハム(フローリー)
    レベッカ・ホール(クレア)
    ブレイク・ライヴリー(クリスタ)
    ジェレミー・レナー(ジェム)
    タイタス・ウェリヴァー(ディノ)
    ピート・ポスルスウェイトファーギー
    クリス・クーパー(ビッグ・マック)
    スレイン(グロンジー
    オーウェン・バーク(デズモンド)
    コレーナ・チェイス(-)
    ブライアン・スキャンネル(-)
    デニス・マクラフリン(-)
    ヴィクター・ガーバー(-)

あらすじ

全米で最も銀行強盗が盛んな地区「チャールズ・タウン」。
そんな町で生まれ育ったダグもまた強盗団のリーダーとして類い稀な才能を開花させていた。
 
何時もの様に手際良く仕事を済ませるダグ。
だが仲間の1人で親友のジェムが逃走時に女性行員のクレアを人質に取るというアクシデントが発生。
危害を加えず開放したものの住まいがアジトの近くだった為に仲間達は困惑する。
口封じをしようと進言するジェムをなだめる為、ダグはクレアに近付くのだが彼女の誠実な人柄に次第に惹かれて行く…。

予告映像

感想

私はアウトローが活躍する映画が大好きだ。
男臭い友情を絡めた犯罪映画であれば更に良い。
本作はそんな私のツボを見事に押さえた作品であり全米公開された頃からずっと気になっていた。
 
正直な感想として『HEAT』の再来というのは言い過ぎだと思いますが、銀行強盗の描写に関して言えば間違いなく同作を超えていました。
例えば防犯カメラの映像が記録されたHDを電子レンジで破壊したり、犯行現場に漂白剤や美容室で採取した毛髪をばら捲くといった"技"の数々はダメだと解っていても関心してしまう。
逃走車や銀行の帯封を燃やし、紙幣の通し番号をバラけさせる為に乾燥機を使うなど、細かなディティールによって多くを語らずとも彼等がその道のプロである事を表現したのは実に見事!!。
何故そんな詳しいのか?という疑問にも「『CSI』シリーズは全部観ている」という台詞で間接的に答えてしまうのだから心憎い(笑)。
 
普段は美味しい役を貰えないベン・アフレックも自身の作品だけあって主人公として大奮闘。
だからといってトム・クルーズの様な「オレ格好良いだろ?」といった演技ではなく、身の丈に合ったキャラクターを謙虚に演じているのが素晴らしい。
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』への出演などで今やトップスターの一員となったジェレミー・レナー演じるジェムの危険な男っぷりも実に魅力的。
彼の存在を『S.W.A.T』で知った身としては、むしろこういったキャラクターの方がしっくり来ます(笑)。
ちょい役ですがクリス・クーパーや本作が遺作となった名優ピート・ポスルスウェイトなどが脇を固めている点にも注目したい。
 
人間ドラマとしても環境や血筋、犯罪者だらけの友人関係に辟易しこんな世界から抜け出したいともがく男の悲哀がよく出ていました。
仲間や愛した人を失い自暴自棄な行動に走ったものの、最後の最後で僅かな救いがあったので後味も決して悪い物ではない。
犯罪者が逃亡するラストには賛否あるでしょうが、彼は何一つ掴む事が出来ずこれからずっと追われて行くのだから十分罰を受けているでしょう。
もしこれが自分の犯した罪に無頓着な奴であれば話は別ですが、彼は善人になって人並の幸せを手に入れたいと思っていた訳ですからね。
 
決して派手ではなくむしろ地味な作品ですが、作り込まれた映像の数々と迫力の銃撃戦は見応えがあります。
古典的な物語とは言え語るべき点は確りと描いた犯罪映画の良作でした。