物語は意表を突く現代パートから幕を開け、地上に落ちた龍の歯を元の場所に戻そうとするベルと野ノ子の前に、それを奪う為にやって来たブランコ一派が立ちはだかる。
馬上シーンなど手描きと違和感なくマッチしたCG表現は『ヱヴァ新劇場版:Q』の頃から更に進化し、『序』や『破』の時のような違和感は完全に払拭され、注視しないとCGである事に気付かないレベルにまで到達しています。
龍そのものを無力化しようと暗躍するブランコ、想い人との再会を願う柴名など、さまざまな思惑が交錯する中、開放された虫歯菌によって後半は凄まじい殺戮描写が展開。
仲間が次々と命を落とし死の匂いが渦巻く絶望的状況の中で立ち上がるベルと野ノ子。
フラグとしか思えない会話からの決着は予想通りとは言え、無邪気にベルを探す野ノ子の姿は観ていて辛いものがありました。
本編が王道なだけにギャップを感じる抽象的なラストや、ブランコの豪運や龍を憎む理由が一切語られない点など惜しい部分もあるにはあるのですが、「親知らず」の扱いなど『KING OF BANDIT JING』に通じる独特のセンスや世界観が素晴らしく、小沢健二さんの「ぼくらが旅に出る理由」をカバーした切なさと同時に希望を感じさせるエンディングも作品のイメージに合っていて良かったです。