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アニメ 『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第1話 (2015年)

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■監督・脚本・絵コンテ・演出 松尾衡 作画監督 高谷浩利 ■メカ作画監督 中谷誠一・仲盛文
 
宇宙世紀0079、地球連邦とジオン公国が戦った一年戦争の末期、サイド4のスペースコロニー群、ムーアはジオン軍の攻撃により破壊され、多くの住人が命を落とした。破壊されたコロニーや、撃沈された戦艦の残骸が無数に漂う暗礁宙域では、ぶつかり合い帯電したデブリによって絶えず稲妻が閃くようになり、いつしかそこは「サンダーボルト宙域」と呼ばれるようになった。

ムーア市民の生き残りで構成された地球連邦軍所属部隊、ムーア同胞団は故郷であったサンダーボルト宙域の奪還を悲願とし、宙域のジオン軍を殲滅せんとしていた。連邦の進軍を足止めせんとするジオン軍も、義肢兵の戦闘データ採取を目的に設立されたリビング・デッド師団を展開。
ムーア同胞団に所属しながら、故郷や自身の出自に束縛される事を疎ましく思うイオ・フレミングと、過去の戦闘により両足を失い、今はリビング・デッド師団でエーススナイパーとして活躍するダリル・ローレンツは、戦場で対峙した時、互いに悟るのだった。ふたりは、殺し合う宿命なのだと……。
 
ネット配信限定かつ各話約18分×全4話構成という変則的な方式で展開されている太田垣康男さん原作のアニメ『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第1話を鑑賞。
サブタイトルがないところを見るに後々1本に編集してイベント上映する様な気がしてならないのだが…。

そんな訳で尺が圧倒的に少なく割愛されている部分も非常に多いのですが、要点は確り押さえているので大きな不満は感じませんでした。
それどころか出撃前の短いシーンで名も無きパイロットたちの人生を描き出し、帰還時のハンガー内の様子だけで過酷な戦況を伝える見事な演出に舌を巻きます。

2人の主人公の描き分けも印象的で、コアファイターでこっそり乗り付けパイロットを射殺してドムを奪うイオは狡猾で嫌な奴。
一方、仲間を殺された挙句、義足を馬鹿にされ怒りを露わにするダリルは青臭い好青年イメージになっているのが面白い。
このキャラ付けは原作通りと言えばそうなのですが、アニメではそれがより誇張され短い中で強烈なインパクトを残す事に成功しています。

作画に関しても『ガンダムUC』の作画スタッフが多数参加しているだけあって文句なしの出来栄え。
冒頭のドラムスティックでリズムを刻むイオなど人物描写も見事ですが、終盤の迫りくるFAガンダムを1カットで見せるシークエンスが圧巻。
高速で接近しザクをジワジワと嬲り殺す姿はまさに悪魔である。

JAZZを多用した拘りの音楽を含め高密度な映像に仕上がっているものの、本編18分はやはり短く「これで終わり?」と思ってしまうこと請け合い。
長ければ良いという訳ではないのだが、どうせなら『ガンダムUC』や『THE ORIGIN』のフォーマットでやって欲しかった…。