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『オンリー・ゴッド』(2013年) -★★☆☆☆-

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スタッフ&キャスト

原題: Only God Forgives
製作: 2013年 デンマーク フランス
時間: 90
出演: ライアン・ゴズリング(ジュリアン) 
    クリスティン・スコット・トーマス(クリステル)
    ヴィタヤ・パンスリンガム(チャン) 
    ラター・ポーガーム(マイ)
    ゴードン・ブラウン(ゴードン)
    トム・バーク(ビリー)

あらすじ

バンコクでボクシングクラブを経営し、裏では麻薬の密売にもかかわるジュリアン(ライアン・ゴズリング)の兄ビリーが惨殺される。
母のクリステル(クリスティン・スコット・トーマス)はジュリアンに復讐を命じるのだが、犯人はビリーにレイプされた挙句殺された少女の父親だった。
ジュリアンは事実を知りこの男を見逃すのだがクリステルは憤慨、地元のチンピラを雇い殺害を強行し、事件を黙認した警察を牛耳るチャン(ヴィタヤ・パンスリンガム)にも復讐の矛先を向けるのだが…。

予告映像

感想

『ドライヴ』ニコラス・ウィンディング・レフン×ライアン・コズリングが再タッグを組んだ賛否両論の問題作『オンリー・ゴッド・フォーギブス』(何故か邦題では「フォーギブス」が省略されている)を観る。

前評判を聞いてもっと難解かつエグイ描写がオンパレードな作品と思いきや意外と普通で肩透かしを食らう。
『ドライヴ』と比べれば確かに抽象的で解り辛いのだが、暴力描写に関して言えばあっちの方が凄かったように思う。
正直この程度で文句言ってる奴等はもっと強烈な北野映画でも観て出直して来いって感じ。
 
とにかくこの作品、ヴィタヤ・パンスリンガム演じるカラオケ抜刀おじさん(笑)の存在感が凄まじく、主役であるはずのライアン・ゴズリングも完全に喰われています。
無表情で容赦なく正義を執行して行くその姿は人を超えた"何か"にしか見えずこの男の前ではクリスティン・スコット・トーマスの極妻っぷりも霞んでしまう。
 
説明や台詞も少なく登場人物の素性や関係性などは推察しなければいけないのだが、筋書きとしてはギャング映画のように報復が連鎖していく破滅的な物語で意外なほどシンプル。
洒落たMUSIC CLIPのような赤と青が強調された映像も鮮烈で、一枚絵のような構図で魅せるシーンの数々は絵画のように美しい。
 
原題を直訳すれば「唯一神の赦し」。
果たして主人公は赦されたのか?。
寓話や白昼夢を観ているかのような独特の雰囲気が支配する娯楽性とは無縁な物語故、観る人を選ぶ作品ですが、個人的には美意識やバイオレンス描写などが初期の北野映画と通じる部分があるので、そういった作品や単館系を好んで観る人にはお薦めです。